目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   だれかにねたこ見せたいなだれにしよ
         東京都 府中市立府中第十小学校1年 牧田  遼

たこあげのたこを、自分で作ったのでしょう。がんばって組み立てて、上手にできたらじまんしたくなりますよね。一句のはじめに「だれかにね」と言って、最後(さいご)に「だれにしよう」と重ねていることで、見せたくてたまらない気持ちが表現されています。              【 ’15.03.14 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   漣の形を残し薄氷   埼玉県  小町 季生

薄く張った氷の表面に漣(さざなみ)の縞目(しまめ)が残っているという句。 風に揺れていた水面が、急速に氷(こお)ったのであろう。言葉に無駄がなく、水から氷までの過程をよくとらえている。                     【 宇多 喜代子 選 】


   ふらここで待っててきっと探します   郡山市  高木 茂子

公園の遊園地で待っていてください。必ず探しに行きますから。「ふらここ」はブランコで春の季語だから平和な光景に感じられるが、被災後の行方不明者の捜索なのだという。                               【 矢島 渚男 選 】


   噴煙に風読み野火を放ちけり  熊本県  田村 三渓

阿蘇の噴煙であろう。風向きを煙で判断して、牧草地を焼き、春を迎える山焼きの行事である。豪快な句柄が阿蘇山にふさわしい。      【 矢島 渚男 選 】


  枡(ます)こぼれ秤(はかり)こぼれる針魚(はりお)かな
                    さいたま市  薄井 逸走

針魚はサヨリ。 こういう情景を見られるのは市場だろうか。 透き通った銀色の肌が目に浮かぶ。食欲をそそる一句である。             【 正木 ゆう子 選 】


  食ごとにひと口ずつの飯(いひ)をあまし陰膳とする無期受刑者
                            仙台市  長岡 義宏  

毎食ひと口の飯をとり分けて陰膳として祈りをこめる、無期受刑者と隣り合わせて生きる生活。 祈りの真意を知るすべはないが、つつましく深い隣人の思いに共感する作者。                             【 岡野 弘彦 選 】


  野地蔵の陰より招く人ありて森に吸はるるスピード違反
                         埼玉県  小林  実

四句目までは民話の世界に誘われるような、のどかな情景。 だが結句でスピード違反の取締りとわかる。オチの決まった一首。          【 栗木 京子 選 】


   あたたかやをさなきものを思ふとき   西村 和子 ( にしむら かずこ )

仲のいい夫婦ならいつまでも一緒にいたいと思う。 しかし現実はそれを許さない。 作者は夫に先立たれ、子どもが結婚して孫が生まれた。「をさなきもの」とはその人である。小さな柔らかな命を思うだけで春の温もりに包まれる気がする。  
                      【 '15.03.03 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   「昨年末、小菅暢子は亡くなりました。」一行のみの寒中見舞
                            横浜市  古山 智子

小菅さんのご友人とのこと。事実だけの描写から、深い喪失感が伝わってくる。
ご冥福をお祈りしつつ、選者として追悼の一首を捧げます。

  「選評を何度書きしかワープロに『のぶこ』と打てば『暢子』と変わる」
                                     俵  万智


   それぞれの病室にある春の月   茅ヶ崎市  清水 呑舟

病室がいくつかある病院であろう。その部屋の窓から月が見える。重篤の人の窓にも、快癒近い人の窓にも同じように春月が光を運ぶ。    【 宇多 喜代子 選 】


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