目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   苺煮る遊びをせんと生まれ来て   高槻市  上村 篤信

遊ぶ子供を讃(たた)える『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の一節を、そのまま大人に当てはめた。ジャムを作る作業は、確かに家事というより飯事(ままごと)のように楽しい。                               【 正木 ゆう子 選 】


  サクラ追い北へ北へと友走る角館いま通過点とか
                         交野市  二宮 保子

桜前線を追って日本列島北上の旅を続ける友人。列車を乗り継ぐのであろうが「走る」と表したことで勢いが出た。角館という地名に花の名所にふさわしい華やぎがある。                               【 栗木 京子 選 】


   こどもの日かんらん車からまちをみる
             東京都 墨田区立小梅小学校2年  早川 絢梧

こどのの日の休日、お出かけをして、観覧車 ( かんらんしゃ ) に乗ったのでしょう。高くのぼると、町を一目で見渡(みわた)すことができますね。 こどもの日の楽しい思い出が、具体的 ( ぐたいてき ) に詠まれていて良かったです。
                【 ’15.04.25 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   古巣とは迷いし風の眠る場所   神奈川県  西田 克憲 

ぽつんと木に掛かっている古巣は、なんとなく心を惹(ひ)く。その理由がこの句にはありそう。 迷える風が眠っているから・・・・・・・・・。 人間の故郷への思いにも通じる一句かと思う。                            【 正木 ゆう子 選 】


   焼跡は今も本籍昭和の日   東京都  山田 勇三郎

敗戦の年東京は一面の焦土と化した。作者の家も焼け、いまもその地に暮らすが、焦土の記憶は消えることはないのだ。             【 矢島 渚男 選 】


  成りゆきで船乗りになり勤め上げし父のカナヅチ子等知らぬまま
                            大分県  阿部 恭子 

ずいぶん長らく船の仕事をしてきた父上なのだろうが、泳げなかったとは。 しかも、子等にも秘密にしていたのだ。「成りゆきで」とある事情をぜひ知りたいものである。 
                                    【 栗木 京子 選 】


   修司忌や古書肆に父の本を捨つ   東京都  吉竹  純

古書店に父の本を処分したのは、寺山修司の忌日5月4日であったというのだ。「捨つ」に、作者の父への屈折した思いがのぞく。 それは、修司俳句の父とも響きあう。             肆 : シ、 つらね みせ       【 小澤  實 選 】 


   花の下はちきれそうな稲荷ずし   仙台市  勝  美彰

こんなお花見もいいなぁと思う。 すし飯のたっぷり入った ただ大きいというだけのこの日の「稲荷ずし」が、特別なご馳走になる。          【 宇多 喜代子 選 】


   一合の筍飯と自由かな   横浜市  大島 早苗

おそらく一人暮らしだろう。 それでも、時季には旬のものを揃(そろ)えて楽しむ。  加えてなにものにも替えがたい「自由」がある。 余人にはわからぬ佳(よ)き日々、よき日常である。                         【 宇多 喜代子 選 】


   雪をまじへ千筋のしだれ桜かな   町田市  枝沢 聖文

今年は気象異変で桜が満開の時期に雪が降った所もあった。 これは大きな枝垂れ桜。「千(ち)筋」がいい。枝の花に雪がついて美しい眺め。 【 矢島 渚男 選 】


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