目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   楽観はどこから来る窓に守宮(やもり)  竹原市  岡元 稔元

珍しく自由律である 。 「来る」 の後で切れ、二つのフレーズから成る。 楽観的に考えることの難しい時代にあって、内容的にも共感を呼ぶ。 【 正木 ゆう子 選 】


    明易し誰にともなく時計鳴る   小樽市  前田 満夫

目覚まし時計ではなく、正時に鳴るボンボン時計のようなものだろう。その音で誰かが起き出すのか、誰も起きないのか。 時計はただ鳴る。   【 正木 ゆう子 選 】


  引き上ぐることなどなかれ永久(とこしえ)に戦艦大和は眠りてあるべし
                               城陽市  相原 洋次

人によって様々な思いがあるだろう。でも私も作者と同じ気持ちだ。大和は我々の希望であり、祈りだった。いたいたしい大和よ、祈りの思いと共に眠っていて下さい。 
                                    【 岡野 弘彦 選 】


   溶融の錫のごと照る夏の川   入間市  大矢  勲

これはまた何と暑そうな川か。しかし錫(すず)の銀色は涼しげだし、スズという音が「涼」に通じて、暑いのに涼しいような、不思議な感覚。   【 正木 ゆう子 選 】


  たなばたの今宵織女が逢ふころかわが思う夫この世にはなし
                          東久留米市  森 みつえ

奈良時代に中国から伝わって盛んになった星祭も、元は日本固有の水辺で機(はた)を織る聖女、 「たなばたつめ」の信仰にある。 七夕の宵に亡き夫(つま)を思う女性の伝統的な心の歌。                  【 岡野 弘彦 選 】


  肩ならべ草笛吹きし少年と少女はめをと今日も野に出る
                          埼玉県  小林 道子

平凡なようだが、田園に育った少年と少女がすこやかな愛を育てて夫婦となり、親が残してくれた土地を受け継いで農にいそしむ、柳田国男の言う日本人の理想の姿。                                  【 岡野 弘彦 選 】


   あめんぼがあめんぼの子に当りをり   生駒市  中谷 ただこ

池などで見かけたのだろう。アメンボがアメンボに体当たりなどしていじめているところを見たのだ。 これは獰猛(どうもう)な肉食昆虫だから、心配にもなる。  
                                    【 矢島 渚男 選 】


   おとなしき子にも未来や柿の花   さいたま市  清水 保巳

積極的な子供は目立つものだが、そうでない子にも同じ豊かな未来がある。
じっくりと確かな歩みで、どんな大人になるのだろう。      【 正木 ゆう子 選 】


   青大将殺(あや)めたる夜や熱を出す   小樽市  前田 満夫

大きな蛇、アオダイシィウを退治した夜、ゆえしらぬ高熱が出てしまった。 蛇はこのあたりの主で、そのたたりだったのかもしれない。 土俗的な魅力にあふれる一句。  
                                    【 小澤  實 選 】


  この夏は蛍見たしとふと思う 父より8年長く生きたり
                        狭山市  奥薗 道昭 

父の享年を越えたとき、 男はみんな、ある感慨にひたる。 それからの時間を数え出す。上句と下句で別のことを言っているが、発想に調和感があって十分に味わえる。 蛍が手柄。                           【 小池  光 選 】


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