目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   月の夜に時よ戻りて同窓会   行橋市  野田 文子

「時よ」には 普通 「戻れ」と続くところ、「よ」の用法がユニーク。 戻れと願い、戻ったのだろう。 月夜の不思議なタイムスリップ。           【 正木 ゆう子 選 】


   襞寄りて鶏頭は思慮深き花   相模原市  奥沢 和子  

鶏頭は「思慮深き花」だと断定している。この句は「襞(ひだ)寄りて」の観察が優れていて、この描写によって納得されるのである。          【 矢島 渚男 選 】


  下駄ばきの水上機に乗る特攻兵見おくる人なく指宿を発つ
                           奈良県  大村 三郎

作者は指宿(いぶすき)市出身。私は知覧は2度たずねたが、指宿の海軍航空基地は知らなかった。 下駄ばきの水上機による特攻などが行われたとは。 近く、指宿をたずねます。                        【 岡野 弘彦 選 】


  オクラの実刻めば星が増えてゆく採りたてだからいい容して
                          昭島市  杉山  尚

オクラの断面は星のような形をしている。その美しさを詠んだ歌はこれまでにもあったが、この歌は採りたての「いい容(かたち)」に着目したことで、場面の躍動感が出た。                                  【 栗木 京子 選 】


   垂れそめし稲穂や誰ももう死ぬな   笠間市  沢崎 だるま

今年ほど戦争に関する投句の多い夏はなく、今も続いている。掲句も戦後70年と前書があるが、なくとも通じるだろう。豊かな稲の稔る平和な秋、これ以上のものはない。                               【 正木 ゆう子 選 】


   花火散る吐息の中にわれもゐて   防府市  中村 茂彦

ひゅるひゅると昇りつめ、弾け、開ききった後、ゆっくりと落ちてくる光を吐息に見立てた。見上げる人々を大きく包み込むように。           【 正木 ゆう子 選 】


  新聞をていねいに読む敗戦日   千葉  かとう 祥子

この日の新聞には多く戦争や敗戦にかかわる記事が掲載される。 それを、丹念に読む。 知らなかったこと、思い出すことなどがあり、読み流せないのだ。  
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   インク吸ふ万年筆や秋の夜   八王子市  大串 若竹

万年筆もカートリッジ式は安価だが、吸引式のものは高級である。秋の夜、はがきでも書くのか。万年筆自体を楽しんでいるのか。         【 小澤  實 選 】


   水の輪の正体は何菖蒲園   鹿嶋市  津田 正義

さて何だろう。水中に何かがいる、何かが起こっている。菖蒲の池に行き、菖蒲ならざるものに視線を集中させた句。                【 宇多 喜代子 選 】


  映写機の光の中にもうもうと煙草のけむり昭和の劇場
                           城陽市  相原 洋次

昔の映画館は、まことこのようなものであった。もうもうと紫煙の立ちのぼる中で、人は平気で映画を観ていたのだからまさに隔世の感。その中に幾多の名画があった。
                                    【 小池  光 選 】


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