目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[79]  [80]  [81]  [82]  [83]  [84]  [85]  [86]  [87]  [88]  [89
   けふの月使はぬ蔵の美しき   福井市  村田 淑子

月下蔵の図である。だれの蔵か、どんな蔵か。その一切を省いて一景とする。伝えているのは 「使はぬ蔵」 であることのみ。            【 宇多 喜代子 選 】


   知らぬ人ばかりの夢や夜半の秋   高槻市  東谷 直司

たぶん夢の中ではあの人この人とわかっていたのだろうが、 覚めれば判別不能の ぼんやりしたものになる。 「秋の夜」ならぬ「夜半の秋」とは、なんとも美しい言葉。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   想い出はこの薄甘き梨に似て   土浦市  山本 順子

「薄甘い」は、甘いには違いないけれど、あまり甘くないときにも使う言葉である。 その微妙さ。薄甘い梨のような思い出とは・・・。 少し寂しく、共感を誘う人生の味がする。                                【 正木 ゆう子 選 】


   雁渡る千年同じ空の道   東京都  本多 明子

渡り鳥の観察が可能なのは、鳥たちが毎年同じ地点を通るから。 思えば それは千年も、いやもっと大昔から続いているのである。       【 正木 ゆう子 選 】


   栃の実の落ちて誰かのものになる   鳥居 三朗 ( とりい さぶろう )

東京の和菓子屋にも栃餅が出る季節になった。ぱくりと食べれば、はるかな山々の記憶がよみがえる。 栃の実は、栃の枝にぶらさがっているうちは「母なる山」のもの。落ちたときからそれぞれの運命がはじまる。句集『てつぺんかけたか』から。
                      【 '15.10.24 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   新米を炊くは余生の恋に似る   東村山市  岡崎 多加之

新米を炊くのは 「余生の恋」 に似ている、という。 それは微かに、あたたかな喜び。新米に老いらくの恋を重ねるのは新鮮であり、優れた作品であろう。  
                                    【 矢島 渚男 選 】


   肉付きの良き蟋蟀を鶏つつき   桑名市  田村 将昭 

こおろぎに 「 肉付きのいい、わるい 」 があるとは、提出句に教わった。人間の目でこおろぎを見ていない。 鶏の目でこおろぎを見ている。      【 小澤  實 選 】



   紅白に島を真二つ運動会   新居浜市  鈴木 武夫

瀬戸内海の島の小学校の運動会なのであろう。子供たちが紅白の組に分かれ、それを応援する親や縁者や近所の人たちも、それぞれ紅白に分かれて声援を送っている。                                【 矢島 渚男 選 】


   ああこわかつたかまきりにとびつかれ   松山市  久保  栞

秋の昆虫でも、ばったやいなごに飛びつかれても、小さいためそれほど怖くはない。かまきりは大きく、重い。ようやくシャツからはずしての「ああこわかった」である。 
                                    【 小澤  實 選 】


   運動会兄と妹弟も   東京都  斎木 百合子

兄がいて弟がいて妹がいる。この3人が揃って運動会に来てくれた。嬉(うれ)しいとは書いてないのに、はちきれる程の嬉しさのあふれた句。   【 宇多 喜代子 選 】


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター