目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
けふの月使はぬ蔵の美しき 福井市 村田 淑子
月下蔵の図である。だれの蔵か、どんな蔵か。その一切を省いて一景とする。伝えているのは 「使はぬ蔵」 であることのみ。 【 宇多 喜代子 選 】
月下蔵の図である。だれの蔵か、どんな蔵か。その一切を省いて一景とする。伝えているのは 「使はぬ蔵」 であることのみ。 【 宇多 喜代子 選 】
知らぬ人ばかりの夢や夜半の秋 高槻市 東谷 直司
たぶん夢の中ではあの人この人とわかっていたのだろうが、 覚めれば判別不能の ぼんやりしたものになる。 「秋の夜」ならぬ「夜半の秋」とは、なんとも美しい言葉。
【 宇多 喜代子 選 】
たぶん夢の中ではあの人この人とわかっていたのだろうが、 覚めれば判別不能の ぼんやりしたものになる。 「秋の夜」ならぬ「夜半の秋」とは、なんとも美しい言葉。
【 宇多 喜代子 選 】
想い出はこの薄甘き梨に似て 土浦市 山本 順子
「薄甘い」は、甘いには違いないけれど、あまり甘くないときにも使う言葉である。 その微妙さ。薄甘い梨のような思い出とは・・・。 少し寂しく、共感を誘う人生の味がする。 【 正木 ゆう子 選 】
「薄甘い」は、甘いには違いないけれど、あまり甘くないときにも使う言葉である。 その微妙さ。薄甘い梨のような思い出とは・・・。 少し寂しく、共感を誘う人生の味がする。 【 正木 ゆう子 選 】
雁渡る千年同じ空の道 東京都 本多 明子
渡り鳥の観察が可能なのは、鳥たちが毎年同じ地点を通るから。 思えば それは千年も、いやもっと大昔から続いているのである。 【 正木 ゆう子 選 】
渡り鳥の観察が可能なのは、鳥たちが毎年同じ地点を通るから。 思えば それは千年も、いやもっと大昔から続いているのである。 【 正木 ゆう子 選 】
栃の実の落ちて誰かのものになる 鳥居 三朗 ( とりい さぶろう )
東京の和菓子屋にも栃餅が出る季節になった。ぱくりと食べれば、はるかな山々の記憶がよみがえる。 栃の実は、栃の枝にぶらさがっているうちは「母なる山」のもの。落ちたときからそれぞれの運命がはじまる。句集『てつぺんかけたか』から。
【 '15.10.24 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
東京の和菓子屋にも栃餅が出る季節になった。ぱくりと食べれば、はるかな山々の記憶がよみがえる。 栃の実は、栃の枝にぶらさがっているうちは「母なる山」のもの。落ちたときからそれぞれの運命がはじまる。句集『てつぺんかけたか』から。
【 '15.10.24 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
新米を炊くは余生の恋に似る 東村山市 岡崎 多加之
新米を炊くのは 「余生の恋」 に似ている、という。 それは微かに、あたたかな喜び。新米に老いらくの恋を重ねるのは新鮮であり、優れた作品であろう。
【 矢島 渚男 選 】
新米を炊くのは 「余生の恋」 に似ている、という。 それは微かに、あたたかな喜び。新米に老いらくの恋を重ねるのは新鮮であり、優れた作品であろう。
【 矢島 渚男 選 】
肉付きの良き蟋蟀を鶏つつき 桑名市 田村 将昭
こおろぎに 「 肉付きのいい、わるい 」 があるとは、提出句に教わった。人間の目でこおろぎを見ていない。 鶏の目でこおろぎを見ている。 【 小澤 實 選 】
紅白に島を真二つ運動会 新居浜市 鈴木 武夫
瀬戸内海の島の小学校の運動会なのであろう。子供たちが紅白の組に分かれ、それを応援する親や縁者や近所の人たちも、それぞれ紅白に分かれて声援を送っている。 【 矢島 渚男 選 】
瀬戸内海の島の小学校の運動会なのであろう。子供たちが紅白の組に分かれ、それを応援する親や縁者や近所の人たちも、それぞれ紅白に分かれて声援を送っている。 【 矢島 渚男 選 】
ああこわかつたかまきりにとびつかれ 松山市 久保 栞
秋の昆虫でも、ばったやいなごに飛びつかれても、小さいためそれほど怖くはない。かまきりは大きく、重い。ようやくシャツからはずしての「ああこわかった」である。
【 小澤 實 選 】
秋の昆虫でも、ばったやいなごに飛びつかれても、小さいためそれほど怖くはない。かまきりは大きく、重い。ようやくシャツからはずしての「ああこわかった」である。
【 小澤 實 選 】
運動会兄と妹弟も 東京都 斎木 百合子
兄がいて弟がいて妹がいる。この3人が揃って運動会に来てくれた。嬉(うれ)しいとは書いてないのに、はちきれる程の嬉しさのあふれた句。 【 宇多 喜代子 選 】
兄がいて弟がいて妹がいる。この3人が揃って運動会に来てくれた。嬉(うれ)しいとは書いてないのに、はちきれる程の嬉しさのあふれた句。 【 宇多 喜代子 選 】