目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   海鼠(なまこ)の味知らず老いゆくわれは下戸   小平市  関  梓 

酒の肴(さかな)に、旨(うま)そうに食べているのを見ながら、私も酒が飲めたらいいなあと思っている。でも、酒がなくても旨いものですよ。     【 矢島 渚男 選 】


   千住葱空に煙突見て育つ   横浜市  せきねきよし

人が山を見て育つ一方で、千住葱(ねぎ)は煙突を見て育つ。 自然の少ない東京の葱であれば、煙突こそ誇り。 煙突にどこかノスタルジーが漂う。
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   北窓を閉ぢ悲しみをやりすごし   大津市  西岡 信夫 

「北窓」が「悲しみ」と、 「閉ぢ」が「やりすごし」と呼応し、 リフレインめくリズムが波のように心に届く。 動詞が二つとも言いさす連用形であるのも、淡々とした印象。
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   下校子の敬語を使ふ道焚火   堺市  重親 峡人 

学校から帰る子が、道で焚火(たきび)をしている人にもきちんと敬語で挨拶していく。なかなか立派な教育をしている。おそらく小学生だろう。  【 正木 ゆう子 選 】


  富士山が余光の中に黒く立つあしたのことは明日きめやう 
                           下野市  川中子とよ子

明日のことを今日決めようとするから苦しみが湧く。明日のことは明日にまかせようとすると楽になる。夕方のシルエットに浮かぶ富士を見てふとそんな気持ちになった。
                                     【 小池  光 選 】


  工場と工場ふたつ並んでる大きなこうじょう小さなこうば
                         守口市  小杉 なんぎん

初句の「工場」は、多くの人が二つとも「こうじょう」と読んでしまうだろう。そして結句にいたって、はっとするのだ。なにげない使い分けだが、言葉や表現について考えさせられる。                               【 俵  万智 選 】
 


   登校班雪ふみたくて列みだれ 
              東京都 江東区立平久小学校5年  中出 侑花

きちんと列をつくるのが登校班(はん)のお約束(やくそく)です。でも、道に積(つ)もった雪を踏みたくて、はみだしてしまう子が続出(ぞくしゅつ)。よろこびをおさえきれない子どもたちの様子が、いきいきと見えてきます。
                 【 ’16.02.27 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


    水仙や気位高き伯母の忌に   西東京市  高科 憲勝

叔母でなく、伯母であるところが妙にリアル。 伯母は長女だったのかもしれない。 責任感強く、一族を率いて生きた、水仙のような人。     【 正木 ゆう子 選 】


  ふがい無(ね)ども田圃さやめると甥のいう北の夜空に星の閏める
                           横須賀市  片桐 美智枝

農業をやめることを告げる甥の言葉。 「ふがい無ども」(不甲斐ないが)と自身を責める言葉であるところが切ない。方言の温(ぬく)もりとなつかしさが深い余韻を生んでいる。                                 【 栗木 京子 選 】


   注連傾ぐ金精さまは風の中   甲府市  中山  孝

金精(こんせい)さま=男根神は明治初期の政府に淫祠(いんし)邪教として排斥されるまで原始以来の信仰の一中心だった。でも、まだこの素朴な石神は残っていて注連(しめ)を飾ってくれる人もいる。              【 矢島 渚男 選 】


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