目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   花散るや婆が三人しやべる喋る   羽曳野市  北山 史人

三人の婆がしゃべりつづけている。 繰返しが効いている。 桜が散りつづける様子と婆たちの話しつづける様子とが、呼応しあっている。        【 小澤  實 選 】


   元特攻の神父逝きたる松の芯   東京都  山口 照男

戦争終結時に神風特攻隊員であった青年がカソリックに入信し、 神父となって戦後の社会を生きて来られた。 どんなにか辛く重い精神の葛藤を経てきた人なのであろう。                                【 矢島 渚男 選 】


   そつと押す背中小さき入学式   浜松市  北河  覚
小学一年生の入学式。子どもにしてみれば集団生活最初の関門である。おずおずする子の背を押してさぁ行きなさいと促す。まだこんなに小さいのに、とふっと思う。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   葉桜や紙石鹸のやうな恋   神戸市  安川 修司

今もあるかどうか。紙の薄さの小さな使い切り石鹸(せっけん)。小学生の時に流行(はや)った。この恋も儚(はかな)く幼い恋なのだろう。      【 正木 ゆう子 選 】


   楤の芽の食べ頃なれど届かざる   埼玉県  町田節子

自分で採るか、貰うか、お店で食べるか。確かにあまり買うものではない楤(たら)の芽。 「届かざる」と、催促がましいところがユーモラス。      【 正木 ゆう子 選 】


   朧夜や東京ドーム孵化しそう   東京都  天地 わたる 

東京ドームが卵で、 それが孵(かえ)ったとしたら、 巨大な怪獣か。 それは東京をおそらく滅ぼしてしまうものであろう。 朧夜(おぼろよ)の妖しい幻想だが、 ぼくらの不安を形にしている。                        【 小澤  實 選 】


   大臼歯残る一対(いっつい)対目刺   前橋市  平林  始  

俳句は具体性こそが肝要と教える句。 「老いて楽しむ目刺(めざし)」 を奥歯VS目刺の形に仕立てた。もちろん、歯が勝ったのでありましょう。 【 小澤  實 選 】


   卒業をせずに戦火に消えし人   弘前市  高橋 敬子

その人が空襲で亡くなったか兵役でか、作者との関わりも分からないが、敗戦の年には全国どこにもあった。 卒業を詠(うた)って異色の句。   【 矢島 渚男 選 】


   加齢する都会難民桜咲く   松戸市  倉林高次

いま 「都会難民」 が問題になっている。 根底には少子化や核家族化があろう。都市生活者にも孤独や生活難が押し寄せているのだ。桜が咲くたび、年々加齢してゆく。                              【 矢島 渚男 選 】


   山頂の手植桜に会いに行く   広島市  大林  実

山頂に手植えした桜を見にでかけようとしている。「会いに」がやや甘いが、この場合それもいい。自分だけの桜があるのは幸せだ。         【 小澤  實 選 】


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