目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
帰り来よおまへの好きな馬鈴薯の花咲きたりとふるさとの姉
城陽市 相原 洋次
啄木の『一握の砂』にふるさとの馬鈴薯の花をなつかしんだ歌が2首あることは よく知られている。この歌も同じ思いだ。 【 岡野 弘彦 選 】
城陽市 相原 洋次
啄木の『一握の砂』にふるさとの馬鈴薯の花をなつかしんだ歌が2首あることは よく知られている。この歌も同じ思いだ。 【 岡野 弘彦 選 】
生まれてから一人っきりの楠大樹小鳥、旅人近づいて来る
羽曳野市 北山 正人
楠(くす)の大樹は同じ場所に立ったまま命を終える。 つねに「一人っきり」である。ただ、さまざまなものが近づいて来る。「小鳥、旅人」の選択に抒情(じょじょう)性があふれている。 【 栗木 京子 選 】
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読点があると、読みづらくなってしまうのでは・・・?
羽曳野市 北山 正人
楠(くす)の大樹は同じ場所に立ったまま命を終える。 つねに「一人っきり」である。ただ、さまざまなものが近づいて来る。「小鳥、旅人」の選択に抒情(じょじょう)性があふれている。 【 栗木 京子 選 】
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読点があると、読みづらくなってしまうのでは・・・?
この街に孤独死したる若者の検死を終えて空を見上げる
日南市 宮田 隆雄
作者は監察医であろうか。 孤独死をした人がいて、しかも若者であった。 検死を終えたのちに苦い思いが残ったに違いない。 結句の抑制された表現に重みが感じられる。 【 栗木 京子 選 】
日南市 宮田 隆雄
作者は監察医であろうか。 孤独死をした人がいて、しかも若者であった。 検死を終えたのちに苦い思いが残ったに違いない。 結句の抑制された表現に重みが感じられる。 【 栗木 京子 選 】
川苔(かわのり)のうすきみどりや鮎の腸 堺市 重親 峡人
鮎(あゆ)は石に付いたコケ類を食べて育つので、腸(ちょう)までみんな食べられる。しかも、この句は川海苔(のり)を食べた鮎だから、臓物が薄緑。食欲をそそる好句だ。 【 矢島 渚男 選 】
鮎(あゆ)は石に付いたコケ類を食べて育つので、腸(ちょう)までみんな食べられる。しかも、この句は川海苔(のり)を食べた鮎だから、臓物が薄緑。食欲をそそる好句だ。 【 矢島 渚男 選 】
未明鳴く蝉か蝉でもなささうな 岡山市 国定 義明
この句の評にも複雑という言葉を使いたい。 曖昧(あいまい)なこと、微妙なことを俳句にするのは難しい。 【 正木 ゆう子 選 】
この句の評にも複雑という言葉を使いたい。 曖昧(あいまい)なこと、微妙なことを俳句にするのは難しい。 【 正木 ゆう子 選 】
身のめぐりすつきりと死なむ皐月のけふ書道華道の免状を捨つ
座間市 高田 孝子
ごく端的に、そして重い歌。苦心してもらった書道と華道の免状を捨てる。残り時間の限られてくれば、この世の関わりの多くを整理して身軽になりたい。その行動、立派。 【 小池 光 選 】
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小池先生は、読売文学賞を受賞してから若い方の作品を取り上げる機会が少なくなったような気がします。
座間市 高田 孝子
ごく端的に、そして重い歌。苦心してもらった書道と華道の免状を捨てる。残り時間の限られてくれば、この世の関わりの多くを整理して身軽になりたい。その行動、立派。 【 小池 光 選 】
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小池先生は、読売文学賞を受賞してから若い方の作品を取り上げる機会が少なくなったような気がします。
亡き夫が孫と掬いし出目金の九年目に入る夏巡りくる
三島市 中村 節子
夏祭りの夜店で掬(すく)った出目金かもしれない。縁あって飼われることになった出目金は9年目を迎えようとしている。亡き夫への思いをさらりと表したところに余情が漂う。 【 栗木 京子 選 】
三島市 中村 節子
夏祭りの夜店で掬(すく)った出目金かもしれない。縁あって飼われることになった出目金は9年目を迎えようとしている。亡き夫への思いをさらりと表したところに余情が漂う。 【 栗木 京子 選 】
人生の最悪の日も。じゃなく、だと言って朝日は昇る
大船渡市 凪 ひと葉
。は「マル」、は「テン」と読ませるのだろう。句点を打って終了するのではなく、次に続く読点だというたとえが、ユニークなだけでなく、とても前向きだ。 【 俵 万智 選 】
大船渡市 凪 ひと葉
。は「マル」、は「テン」と読ませるのだろう。句点を打って終了するのではなく、次に続く読点だというたとえが、ユニークなだけでなく、とても前向きだ。 【 俵 万智 選 】
山独活を喰ひし女の香りかな 寒河江市 大谷 正行
山ウドを食った女に、その強い香りが移っていた、という野性的な句である。山で採ったウドをその場で食べてきたのだ。 【 矢島 渚男 選 】
山ウドを食った女に、その強い香りが移っていた、という野性的な句である。山で採ったウドをその場で食べてきたのだ。 【 矢島 渚男 選 】
葉桜も滝でありたる滝桜 千葉市 中村 重雄
福島県の三春滝桜は樹齢千年とか。様々に詠まれてきたが、葉桜の句はそう多くはない。花のときだけでなく、滝を成す葉はまた別の迫力。紅葉も滝になるのだろう。 【 正木 ゆう子 選 】
福島県の三春滝桜は樹齢千年とか。様々に詠まれてきたが、葉桜の句はそう多くはない。花のときだけでなく、滝を成す葉はまた別の迫力。紅葉も滝になるのだろう。 【 正木 ゆう子 選 】