目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
面白きほどの暑さとなりにけり 高槻市 東谷 直司
人間が生息できる気温ではないと思うほどの猛暑が年々続く。今年はどうなるか。冗談では済まないけれど、この句の気分はよくわかる。 【 正木 ゆう子 選 】
人間が生息できる気温ではないと思うほどの猛暑が年々続く。今年はどうなるか。冗談では済まないけれど、この句の気分はよくわかる。 【 正木 ゆう子 選 】
半夏生間違ひ電話しか鳴らず 小樽市 前田 満夫
いそいそと電話に出ると間違い電話。また鳴ると、また間違い。何か良い知らせはないものか。嬉しい誘いはないものか。そんな一日。 【 正木 ゆう子 選 】
いそいそと電話に出ると間違い電話。また鳴ると、また間違い。何か良い知らせはないものか。嬉しい誘いはないものか。そんな一日。 【 正木 ゆう子 選 】
卓袱台を揺らす消しゴム夏休 横浜市 我妻 幸男
勉強部屋など無く、居間の卓袱台(ちゃぷだい)で宿題をしているわけだ。消しゴムで鉛筆の字を消すと、卓袱台が揺れる。しっかりしていない卓だ。【 小澤 實 選 】
勉強部屋など無く、居間の卓袱台(ちゃぷだい)で宿題をしているわけだ。消しゴムで鉛筆の字を消すと、卓袱台が揺れる。しっかりしていない卓だ。【 小澤 實 選 】
「水飲めよ」十七の孫通学の途中に寄りて二度も言い行く
三島市 中村 節子
おばあちゃんはきっと一人暮らしなのだろう。近所に住む孫が気遣って通学の途中に声をかけて行く。なんともいい孫だ。実に恵まれた老境を過ごされている。
【 小池 光 選 】
三島市 中村 節子
おばあちゃんはきっと一人暮らしなのだろう。近所に住む孫が気遣って通学の途中に声をかけて行く。なんともいい孫だ。実に恵まれた老境を過ごされている。
【 小池 光 選 】
水戸に棲む八百歳の太郎杉もの言うならばわれ聞くものを
仙台市 小林 恵子
樹齢八百年の大杉。圧倒的な迫力がある。何かひとこと言ってほしい。そのことばなら必ず聞く。下句が端的でよい。 【 小池 光 選 】
仙台市 小林 恵子
樹齢八百年の大杉。圧倒的な迫力がある。何かひとこと言ってほしい。そのことばなら必ず聞く。下句が端的でよい。 【 小池 光 選 】
樺美智子の百合匂う墓人知れず 神奈川県 井上 正
訪れた樺美智子さんの墓に、だれが供えたのだろうか、ユリの花が匂っていた。彼女は私と同学科の後輩だった。一人の若い尊い死が、今も重い意味を持って迫る。
【 矢島 渚男 選 】
訪れた樺美智子さんの墓に、だれが供えたのだろうか、ユリの花が匂っていた。彼女は私と同学科の後輩だった。一人の若い尊い死が、今も重い意味を持って迫る。
【 矢島 渚男 選 】
塩ふられ揉まれて胡瓜痛いだろう 松山市 久保 栞
胡瓜揉(も)みの胡瓜になりきって、その身の上を心配しているというわけだ。確かに痛そう。アニミズム俳句といえよう。ひとたび人間から離れてみるのも、おもしろい。
【 小澤 實 選 】
胡瓜揉(も)みの胡瓜になりきって、その身の上を心配しているというわけだ。確かに痛そう。アニミズム俳句といえよう。ひとたび人間から離れてみるのも、おもしろい。
【 小澤 實 選 】
背負はれて遊びし記憶はるかなり遺影は若き軍服のまま
神戸市 福家 博子
作者の詞書(ことばがき)によると、年若い叔父で「にいちゃん」と呼んで甘えていたその人は航空兵となり、再び帰らなかったという。戦争の記憶は、遠いようで近い。
【 岡野 弘彦 選 】
神戸市 福家 博子
作者の詞書(ことばがき)によると、年若い叔父で「にいちゃん」と呼んで甘えていたその人は航空兵となり、再び帰らなかったという。戦争の記憶は、遠いようで近い。
【 岡野 弘彦 選 】
わが死なばこの山畑は荒れはてむ若葉の谷にほととぎす鳴く
旭 市 寺島 志津子
上の句の切迫した予想は、後継者のない過疎の山村に老いてゆく人々がひとしく抱く思いである。荒廃してゆく日本の山村を嘆くかのように鋭く鳴く時鳥(ほととぎす)の声。 【 岡野 弘彦 選 】
旭 市 寺島 志津子
上の句の切迫した予想は、後継者のない過疎の山村に老いてゆく人々がひとしく抱く思いである。荒廃してゆく日本の山村を嘆くかのように鋭く鳴く時鳥(ほととぎす)の声。 【 岡野 弘彦 選 】
漬物石を川に戻して頭下げ老女は過疎の村を去りゆく
所沢市 鈴木 照興
河原から拾ってきた石を漬物の重石(おもし)にしていた女性。村を去るにあたって川に返しに行った。住んでいた土地への慈しみが伝わってくる。過疎の村であるところが切ない。 【 栗木 京子 選 】
所沢市 鈴木 照興
河原から拾ってきた石を漬物の重石(おもし)にしていた女性。村を去るにあたって川に返しに行った。住んでいた土地への慈しみが伝わってくる。過疎の村であるところが切ない。 【 栗木 京子 選 】