目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   失敬が父の口癖終戦日   霧島市  久野 茂樹 

そんな奥ゆかしい挨拶があった。 確かに今は聞かない。 「失礼」は女も使うが、 「失敬」は男言葉。礼節を重んじた時代の言葉である。   【 正木 ゆう子 選 】


   水着のままバスに乗らないでください   神奈川県  中島 やさか

海水浴場発のバスでは、こんな注意が音声で流されるのか。掲示が貼られているのか。海水浴場の開放的な気分が感じられて来る。      【 小澤  實 選 】


  海軍の戦友の名をわれにつけ父は戦後をさびしく生きたり 
                            霧島市  久野 茂樹

同じ艦に乗って、海戦の苦しみを共にした戦友の名を、わが子につけた父は海軍の志願兵で、将校だったという。 作者の心に残る父の、敗れた後の永い思いが 胸に沁(し)む。                            【 岡野 弘彦 選 】


   夏負けにあらず己に飽いてをり   栃木県  あらゐひとし

俺は夏負けで参っているんじゃない。自分自身に飽きているだけだと言う。こんな気持ちもよくわかる猛暑つづきの夏だった。芭蕉は「昨日の我に飽くべし」と言ったが、そのことなのだろうか。
                        【 矢島 渚男 選 】


   青空が大きかつたよ敗戦日   秋田市  中村 栄一

あの日、日本中晴天で、頭上の青空がどこまでも続いていた。つらい戦後ではあったが、それ以上の自由をもたらした「敗戦日」。大きな青空がそれを象徴している。 
                                    【 宇多 喜代子 選 】


    サンダルの指の間に海の砂   松山市  久保  栞

サンダルをはいた指と指の間に、海の砂がはさまっているのを感じている。微妙に不快ともいえるが、海に来ている実感を伝えている。サンダルが夏季の季語である。
                                    【 小澤  實 選 】


   みな消えて防空壕の残る夏   佐野市  高橋 すみ子

昔の風景も、防空頭巾も、消火用バケツも、思い出の人たちもみんな無くなって、防空壕だけが残っている。せめて悲惨な無謀な戦争だけは後世に伝えておきたい。                                  【 矢島 渚男 選 】


   風呂敷の真ん中に置く西瓜かな   横浜市  竹村 清繁

そうだったな、と思わせる。懐かしい風呂敷、その真ん中に大切に置く。帰ってからは井戸の中に吊(つる)した昔の丁寧な暮らしぶり。      【 矢島 渚男 選 】


   少年の鎖骨のくぼみ海開   鶴岡市  広瀬  弘

いまだ発達途上にある少年のひょろりとした体躯(たいく)を目の当たりにしているよう。海開の日はまだ梅雨最中。海水がひやりと肌を刺す。  【 宇多 喜代子 選 】


   夏休みぶんちやか下手な合奏隊   東京都  野上  卓

「ぶんちやか」とは何なのと思うが、すぐあれだとわかる。さまざまの楽器の音。それが「下手」なのである。夏休みが終わるころにはうまくなるだろう。【 宇多 喜代子 選 】


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