目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  沈みゆく入り日に映えて野火のごとく土手一面に咲く彼岸花
                             志摩市  野村 そのえ

こんなに見事な彼岸花の群落の見られる所も少なくなった。昔ながらの田の姿の残る大和の明日香村を恋しく思いました。           【 岡野 弘彦 選 】

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                < 「入り日」に「沈みゆく」は必要なのだろうか? >


   否応もなし冬瓜を呉れにけり   枚方市  加藤 賢

冬瓜(とうがん)は大きく重い。 あまりもらいたくないのだけれど、自分の気持ちを出せずに、持ち帰ることになってしまった。冬瓜がぴったり。     【 小澤  實 選 】


   箒草少し頭を撫でてみる   鹿嶋市  津田 正義

箒草(ははきぐさ)は身近にないので撫でたことがないが、鶏頭は私も思わず撫でてしまう。こういうことも、句にしてみれば、あらためて面白い。   【 正木 ゆう子 選 】


   さんざんな言われやうなり彼岸花   太田市  阪本 和夫

死人花、幽霊花」、捨子花、狐花。 たしかに 「さんざんな言われやう」 である。 ただし「曼殊沙華(まんじゅしゃげ)は天上に咲く花の名であるとのこと。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


  筑波嶺に喜寿なる友は猿となりガマ岩への道かろがろ飛べり
                            松戸市  佐野 千恵子

喜寿は77歳。友はじつに軽快に山道を進んでゆく。 「猿のごとくに」でなく「猿となり」と言い切ったのが歯切れよい。 「飛べリ」という動詞も躍動感たっぷり。
                                    【 栗木 京子 選 】


  今年こそ野に返さうと亡き母のほまち田見れば鈴なりの柿
                            三原市  藤井 悦子

「ほまち田」は家族の中で個人的に所有する田のこと。母が慈(いつく)しんできた田に今年も柿が実り、在りし日の姿を偲(しの)ばせる。「野に返さう」というやさしい表現が心に残る。                          【 栗木 京子 選 】


  爪切ればああ爪切ると手が軽くなるねと言ひし母を思い出づ
                           松戸市  山田 好司

爪切ると手が軽くなる、 と母は言った。 あんなちっぽけな爪なのに。 老境の人は、ときにハッとさせられることを言う。                  【 小池  光 選 】


  逝きて2年子の名を騙る電話口苦しき声に咳きこんでをり
                          八千代市  一戸 光代

何で調べたのか、亡くなって2年も経った子の名を騙(かた)って、おれおれ詐欺の電話をかけてくる間抜け者。作者の胸中が察しられて、何とも切ない気持ちにさせられる。                                【 岡野 弘彦 選 】


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  死にし子よりの電話でしたと老女はいう形振りかまわぬ振り込め詐欺
                          所沢市  鈴木  照興

早く子を亡くして身よりのない老女のもとへ、 「あなたの息子です」 と 掛かってくる詐欺電話。むごい世の中だと思う。 戦争は無くなっても、 幸福ではない社会。 
                              【 '10.02.15  岡野 弘彦 選 】


  本当の恋を知ってる南天の実が我が庭に色づきはじむ 
                          仙台市  岩間 啓二 

山崎方代「一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております」が下敷きになっている。南天の実を見ると、必ず思い出される一首なのだろう。詩歌の力というものを、感じさせられる。                        【 俵  万智 選 】 

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  南天の実も気づかない想いあり心の底に忘れない人
                          大垣市  岡田  薫

よく知られた山崎方代の一種 「一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております」 が下敷きになっている。 ひねりの効いた上の句が、 特にいい。
                               【 ’08.12.16 俵  万智 選 】


   曼殊沙華こんなところにこんなにも   秩父市  中島 由美子

どんなに暑い夏であっても、彼岸の頃になると咲くのが曼殊沙華(まんじゅしゃげ)。それをみつけたときの発見である。この花の咲く時季と群咲く習性をよく表している。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


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