目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
里芋に母の仕事の粘りかな 仙台市 内海 弘利
母上自身、手抜きなくきちんと仕事をこなす粘り強い方なのだ。粘りのある美味(おい)しい里芋を、子供の頃から食べて育った作者だろう。 【 正木 ゆう子 選 】
母上自身、手抜きなくきちんと仕事をこなす粘り強い方なのだ。粘りのある美味(おい)しい里芋を、子供の頃から食べて育った作者だろう。 【 正木 ゆう子 選 】
父あらば父さえあらば竹の春 榎 正好
父恋の句。「母あらば」であればだれにでも共通する思いとしてわかり合えるところがあるが、父となると作者個人の心情が強くなり、思わず引き込まれる。
【 宇多 喜代子 選 】
父恋の句。「母あらば」であればだれにでも共通する思いとしてわかり合えるところがあるが、父となると作者個人の心情が強くなり、思わず引き込まれる。
【 宇多 喜代子 選 】
恋愛に発展できぬ予感するエンドロールで席を立つ君
前橋市 長谷川 裕香
エンドロールで余韻に浸りたい派か、出口が混む前に立ち上がる派か。ちょっとした感覚や習慣の違いが、 恋の妨げになることがある。 その例として、説得力のある一首だ。 【 俵 万智 選 】
前橋市 長谷川 裕香
エンドロールで余韻に浸りたい派か、出口が混む前に立ち上がる派か。ちょっとした感覚や習慣の違いが、 恋の妨げになることがある。 その例として、説得力のある一首だ。 【 俵 万智 選 】
残る蝿飛ぶに飛べなくなりにけり 群馬県 榎丸 文弘
村上鬼城の「冬蜂の死にどころなく歩きけり」を思わせつつ、飛びたくても飛べなくなったという把握には生き物の哀れを詠って独自なものがある。作者は鬼城と同県の人。 【 矢島 渚男 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
衰えし冬のひかりの壁にゐて蝿はおのれの黒き影負う
衰えし冬のひかりの壁にゐて蝿はおのれの黒き影負う
所沢市 黒川 秋夫
冬の蝿はなかなか感情をくすぐるものである。永遠におのれの影を引くよりない蝿に、私自身のすがたを重ねているのだろう。韻律がうつくしい。 【 小池 光 選 】
村上鬼城の「冬蜂の死にどころなく歩きけり」を思わせつつ、飛びたくても飛べなくなったという把握には生き物の哀れを詠って独自なものがある。作者は鬼城と同県の人。 【 矢島 渚男 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
衰えし冬のひかりの壁にゐて蝿はおのれの黒き影負う
衰えし冬のひかりの壁にゐて蝿はおのれの黒き影負う
所沢市 黒川 秋夫
冬の蝿はなかなか感情をくすぐるものである。永遠におのれの影を引くよりない蝿に、私自身のすがたを重ねているのだろう。韻律がうつくしい。 【 小池 光 選 】
寝袋にねむる銀河に浮かびつつ 水戸市 中崎 正紀
野外で寝袋に入って、秋の夜空を見ながら眠ろうとしている。いつか大地、地球は消えてしまって、銀河のただなかにただひとり浮かんでいるような感じである。
【 小澤 實 選 】
野外で寝袋に入って、秋の夜空を見ながら眠ろうとしている。いつか大地、地球は消えてしまって、銀河のただなかにただひとり浮かんでいるような感じである。
【 小澤 實 選 】
まいまいは何処(どこ)へ行くのか或る意思を確かに持ちて進みいるなり
狭山市 奥薗 良子
まいまい即ちカタツムリ。どこへ行くのか、殻を負いつつゆっくりゆっくり進む。あたかも彼に無二の意思あるごとく。 【 小池 光 選 】
狭山市 奥薗 良子
まいまい即ちカタツムリ。どこへ行くのか、殻を負いつつゆっくりゆっくり進む。あたかも彼に無二の意思あるごとく。 【 小池 光 選 】
はすの葉に落ちたる滴(しずく)のその中を見知らぬだれかが通り過ぎゆく
東京都 鈴木 悦子
ハスの葉に落ちた一滴。 その中に写って、 誰かが通り過ぎてゆくような気がした。 繊細な感受性が感じられる。 写ったのは過去から未来に向かう私自身の影かもしれない。 【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気になる2つの「赤い部分」、無くてもよいのでは・・・。
東京都 鈴木 悦子
ハスの葉に落ちた一滴。 その中に写って、 誰かが通り過ぎてゆくような気がした。 繊細な感受性が感じられる。 写ったのは過去から未来に向かう私自身の影かもしれない。 【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気になる2つの「赤い部分」、無くてもよいのでは・・・。
スイッチバックして紅葉を重ねけり 和泉市 白井 恭郎
列車が前へ後ろへ交互に進みながら登るスイッチバック。その車窓の景を「紅葉を重ねる」とは個性的な言い方である。同じ風景を繰り返しつつ、重ねつつ登るわけだ。 【 正木 ゆう子 選 】
列車が前へ後ろへ交互に進みながら登るスイッチバック。その車窓の景を「紅葉を重ねる」とは個性的な言い方である。同じ風景を繰り返しつつ、重ねつつ登るわけだ。 【 正木 ゆう子 選 】
コスモスや君のゆらぎと吾のゆらぎ 伊勢崎市 中野 千秋
単なるゆらぎでも心のゆらぎでもいいが、1/ f のゆらぎ(心地よい不規則性)という言葉を思うのもいい。花も人も、命はみんなゆらいでいる。 【 正木 ゆう子 選 】
単なるゆらぎでも心のゆらぎでもいいが、1/ f のゆらぎ(心地よい不規則性)という言葉を思うのもいい。花も人も、命はみんなゆらいでいる。 【 正木 ゆう子 選 】
ことば待つ君へ林檎を剝きながら 東大阪市 渡辺 美智子
ことさら聞き出したりせず、林檎(りんご)を剥(む)きつつ、相手が話し出すのを待つ。 視線を交わすことなく、林檎を剥きながらだと、確かに話し易(やす)い。
【 正木 ゆう子 選 】
ことさら聞き出したりせず、林檎(りんご)を剥(む)きつつ、相手が話し出すのを待つ。 視線を交わすことなく、林檎を剥きながらだと、確かに話し易(やす)い。
【 正木 ゆう子 選 】