目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   たんぽぽの絮よ壊されそうな星よ   神奈川県  中島 さやか

たんぽぽの円い絮毛(わたげ)が今にも壊れそう。この地球という星も愚かな人間たちの争いによって壊されそう。そんな感慨の句であろう。     【 矢島 渚男 選 】 


   絵は我にあらず踏めよと神の声   八王子市  永  松雄

踏絵を踏むキリスト教徒の内面を描いた。絵は自分ではない、踏みなさいと神の声が響いている。江戸時代、踏絵は春先におこなわれた。   【 小澤  實 選 】


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 何年か前に、初めて「千の風になって」を聴いた時のような衝撃を受けました。 


   寒戻る別れを告げに来しごとく   土浦市  今泉 準一

冴(さえ)返るというには余りに寒くて、まるで冬が再び戻ってきたのかと思うほどだ。きっと最後の別れを告げに来たのかもしれない。        【 矢島 渚男 選 】 


   飾るたび若くなりたる雛(ひいな)かな   青森市  小山内 豊彦

年に一度雛(ひな)を出す。 雛は年をとることもなく幾年も前と同じ初々しい顔で現れる。 年々雛が若くなるのではなく、迎えるこちらが年老いてゆくのだ。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


  この次は金持ちの家へ嫁に行け母の棺に父のさよなら
                            常陸太田市  岡田 広子

棺(ひつぎ)の中の母に呼びかける父の竿後のことば。平凡にして、真実味こもる。たくさんの苦労をかけてきた。 「この次」 と言いながらこの次がないのが生きるということだ。                                 【 小池  光 選 】


  親ばなれ早く終へたる少女期よ気ままに生きて母の恋しき
                            松山市  三木 桂子

早めに親離れしてすっきりしていたはずなのに、年齢を重ねるにつれて母が恋しくなる。下句に複雑な思いが託されている。             【 栗木 京子 選 】


   蕗の薹お澄ましもよし笑ふもよし   下松市  吉武 美智子

「お澄まし」を 澄(すまし)汁のことかと思いつつ読めば、下五で「笑ふもよし」と転じ、表情のことだった。蕾(つぼみ)はお澄まし、開いた蕗(ふき)の薹(とう)は笑顔。
                                     【 正木 ゆう子 選 】


おひなさまというねむいという夕日   館林市  松本 みゆき

敢えて俳句的な表現を外し、独特のニュアンスを出した作。幼い女の子の言葉を書き留めたのかも。時にはこんな冒険も応援したい。      【 正木 ゆう子 選 】


   孕猫トラックを止め横断す   名古屋市  可知 豊親

孕(はら)んだ猫がトラックが来る寸前を渡りだす。トラックは急停止し、猫は前を堂々と渡っていく。この自信はどこから来るのか。繋がれる命が力を発揮するのか。
                                      【 小澤  實 選 】


  少しづつ進む時計を少しづつ遅らせながら日々を営む
                            狭山市  奥薗 道昭

これも発想おもしろい。日々の生活とは こんなものかも知れない。進む時計を遅らせながらなんとか日々の辻褄(つじつま)を合わせる。ひたひたと老いがしのび寄ってくる。                                  【 小池  光 選 】


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