目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  「また今度会えるかな」っていつも聞く ( オレのものにはしない )私に
                              足利市  坂庭 悦子

「何日にぜひ会おう」とは言わない。 ( )内は、受け手側の翻訳だろう。 束縛をせず、決定権を預ける相手。 そのもどかしさ。           【 俵  万智 選 】


   あの頃は蝙蝠がいてみんないて   茨木市  瀬戸 準治

いまは都市に暮らしているが、 幼かった頃が懐かしい。 コウモリも飛び、 友だちも家族も多かった・・・と。 句の調べもなつかしい。        【 矢島 渚男 選 】 


   たいそうな金魚預けて入院す   堺 市  重親 利行

犬猫ならずとも、さて入院となると困るのが生きもの。水の入った金魚鉢もろともにだれかに預ける。まさに「たいそう」なのである。        【 宇多 喜代子 選 】


  読み人を背(せな)から覗き込むように蔵書印ある古本を買う
                            東久留米市  中里 正樹

今では珍しい蔵書印だが、だからこそ物語を感じてしまう。かつての所有者を思う気持ちが、上の句でユニークに表現された。           【 俵  万智 選 】


  ふりあふぐ焦土の街の夕空に「リンゴの唄」は流れゐたりき
                            東大阪市  山本  陸

こういう、敗戦後の感慨をこめた歌も、次第に見ることが少なくなった。原作「リンゴの唄の」は、「唄は」と変えてみた。                 【 岡野 弘彦 選 】


   残業のなき夕焼のホームかな   松戸市  をがはまなぶ

暗くなってからの帰宅が続いたのだろう。定刻の退社は久しぶり。淡々とした読み方に、安堵(あんど)とも疲れともしれない放心が見て取れる。 【 正木 ゆう子 選 】


  素足にて君の1K知る夏のアラームの音ハミガキの味
                            足利市  坂庭 悦子

1Kは部屋の間取り。靴下を脱いで、そこで朝を迎えた。婉曲ながらも的確に状況を伝えているところが見事。目覚まし時計や歯磨き粉などの具体性がいい。君の日常に触れた喜びが、弾むように伝わってくる。          【 俵  万智 選 】


   初恋は浅瀬の小石夕蛍   朝倉市  安陪 良一

浅瀬の小石のような恋、という比喩が愛らしい。はるか昔を振り返ってこその比喩だろう。当時は当時で、大恋愛のつもりだったかも。       【 正木 ゆう子 選 】


  はじめてのデイサービスに出でし母もち帰りたる社会のかおり
                            千曲市  米沢 光人

デイサービスを利用するようになって母の世界が広がった。 結句でやや大げさに「社会のかおり」と表したところに、一歩を踏み出した母への励ましが感じられる。
                                     【 栗木 京子 選 】


  一斉に白く咲きてはまちまちに紅く色変ふ箱根空木
                            生駒市  山村  修

箱根空木(うつぎ)の花は白から紅へと変化してゆき、 白と紅の花が混じり合って咲くところが美しい。丁寧な描写の光る歌である。        【 栗木 京子 選 】


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