目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   とぎ汁をしづかに流す原爆忌   狭山市  えんどう けいこ

8月6日は広島の、9日は長崎の原爆忌。「とぎ汁を流す」と詠む心は、水や花を供える心とはまた違った複雑さだろう。読み手も深くものを思わずにいられない。
                                   【 正木 ゆう子 選 】


    太陽は一人にひとつ夏の浜   東京都  山内 健治

宇宙に一つの太陽。それを夏浜に遊ぶ一人に一つずつとした。大胆な海浜風景である。一人一人を大事とみた人間賛歌の句でもある。  【 宇多 喜代子 選 】


  感想文残したままの八月はクマゼミばかり勢い増して
                            横浜市  水野 真由美

感想文という、やっかいで大物の宿題が、リアルだ。 焦る気持ちに、クマゼミの声が、急(せ)かすように重なっている。               【 俵  万智 選 】


   来合はせし娘(こ)二人昼寝してゆけり   所沢市  近藤 栄子

久しぶりの顔合わせなのに、溜まっていた疲れが出て、ただ眠るだけの二人。これぞ親の家の安らぎ。                         【 正木 ゆう子 選 】


   炎天や九十歳の脳ちぢむ   千葉市  小林  昭

100歳、90歳が珍しくない当節だが、やはり高齢の心身に猛暑はつらい。思考力もにぶる。そのつらさを「脳ちぢむ」がなまなましく伝える。 【 宇多 喜代子 選 】


   緑蔭や樅の樹液を嘗めてみる   安中市  塩谷 多鶴子 

樅(もみ)の木陰で樹液を嘗(な)めて、兜(かぶと)虫の気分を味わってみる。木のフレーズに木の季語をあえて取り合わせて、句中を緑で満たした。
                                     【 小澤  實 選 】


   皺の掌と語らっている端居かな   福島市  斎藤 スイ

石川啄木の 「じっと手を見る」 のようだが、 もう若者の掌(て)ではない。 来し方のさまざまを思い出し、独り言を言って見詰めている。       【 矢島 渚男 選 】


  うつしよの最初と最後のライバルなり四人姉妹の密な交わり
                            秦野市  高堀 道子

姉妹は一生を通してのライバルであり盟友でもある。四人姉妹であるところに連帯の確かさがうかがえて、うらやましい。                【 栗木 京子 選 】


   万緑の森より濡れし少女来る   小平市  土居ノ内 寛子

「濡れし少女」がどんな状態だったかはわからないが、とても暗示的。「白馬を少女瀆(けが)れて下りにけむ 三鬼」 に似るが、違う。       【 矢島 渚男 選 】 


   レギュラーと違う日焼となる補欠   伊勢崎市  川野 忠夫

なるほど そういう 違いもある。身近に見なければ思いつかない句ではないか。補欠であろうと、日焼けは一夏の勲章であることだろう。       【 正木 ゆう子 選 】


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