目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  無期刑の己が命を思うふなり梅の下枝(しずえ)の凍りつく今朝
                            仙台市  長岡 義宏

熱心に投稿を続ける作者は、この1月で59歳になったという。「こちらには臥龍梅という名木があるのですが、自分の身を重ねながら春を待つのみ」と記してある。
                                    【 岡野 弘彦 選 】


   寒雀みな若かろう群れをなし   東京都  駒形 光子

厳しい環境に生きる野生動物は、確かに老いて後の日々が長いとは思われない。雀(すずめ)に関してそんな事を考えたことがないので驚いた。【 正木 ゆう子 選 】


   独り居の点々と在り冬灯り   鳥取県  田 小夜子
       < 﨏:名字に使われる場合は「えき・さこ・はざま」と読むそうです

村に点(とも)っている家々の灯(あか)り。 その中には老いた人が一人、 また一人住んでいる。それが分かるのは作者が旅の人ではなく村の人だからだろう。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   勝独楽の回り続ける孤独かな   北本市  萩原 行博

独楽(こま)ならずとも、勝者には立ち続けねばならぬという重責の悲哀がある。そこのところを勝独楽に語らせる句。                 【 宇多 喜代子 選 】 


  本日は郵便物の無き日なりラブレターなし請求書なし 
                          京都市  五十嵐 幸助

第四句までは寂しい一日だが、前向きな結句がユーモラス。何もない日は、いいことも無いが、悪いことも無いのだ。                  【 俵  万智 選 】


   風呂吹や煮くずれもまた大皿に   弘前市  岩田 秀夫

上出来のものは銘々に盛り付けて。煮崩れたものは大皿にまとめて。でもこの煮崩れた大根の美味しそうなこと。大根を煮たくなる。       【 正木 ゆう子 選 】


   冬木の芽未来は過去を変えられる   京都市  吉田 基子

未来から見れば現在は過去。振り返って、あの頃があったから今がある、と未来の自分が思えたらいい。それにしても不思議な言い方。     【 正木 ゆう子 選 】


スリッパに左右の形小正月   前橋市  豊嶋 和夫

小正月に幾人かが集まった。人の数ほどスリッパが揃(そろ)えられる。そのスリッパを主役にした句。                          【 宇多 喜代子 選 】 


   寒鯉のぬらりと触れてぶつからず   千葉県  鈴木  裕

看鯉(かんごい)が水底にかたまって冬眠中。時にゆらりと静かに動く。まさに「ぬらり」である。それでいて「ぶつからず」である。寒中の鯉の様子がよくとらえられている。
                                   【 宇多 喜代子 選 】 


  睦月二日赤き月照り沈みゆく西方浄土の吾娘(あこ)おもふなり
                              上尾市  大平 丈一

親が、自分より早く世を去った逆縁の娘を悼む歌である。 年の初めにたまたま、 無常の歌3首を採ることになった。                 【 岡野 弘彦 選 】


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