目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   雪卸し這って梯子に辿りつく   横手市  柴田 健次郎

雪を卸した後の屋根の上が滑りやすいのか、這(は)って移動して、ようやく地面に降りる梯子(はしご)にまでたどりついたというのだ。 雪卸しのたいへんさが端的に描かれている。                              【 小澤  實 選 】


   隼やぱつと命の毛を散らす    町田市  枝沢 聖文

冬青空に鳥たちは生死をかけて、こんな場面もある。猛禽(もうきん)類のハヤブサが小鳥を襲い、羽毛が飛び散った。非情な表現である。   【 矢島 渚男 選 】


   残る雪おのれ苛む汚れやう   相模原市  奥沢 和子

残雪が汚れて惨めな姿をさらしている。それは雪が自分を苛(さいな)んで―自虐していると、自分自身を重ねているかのように深い句。     【 矢島 渚男 選 】


   若く逝く真白きこころ蘭の花   福岡県  要  俊江
「おもちつきよこづなみたいなきねどすん」。8年前当欄に戴(いただ)いた石上清裕君8歳の句である。その彼が昨秋16歳の若さで急逝されたという。ご冥福(めいふく)をお祈りします。                         【 正木 ゆう子 選 】


  福寿草のような娘を抱きしめていたかもしれず君と生きれば
                            東大和市  月舘 桜夜子

「君」は昔の恋人だろうか。「福寿草のような娘」は初々しくてまぶしいが、四句目が過去形になっているところが切ない。              【 栗木 京子 選 】 


【 特待生4級から3級に昇格 】
   雛壇を静かに登る老いた猫   千原 ジュニア
      
              【 18.03.01 TBS「プレバト」  夏井 いつき 選 】

                       < ありそうであり得ない状況。 妄想? >


   キリンには見える軍靴も風花も   諫早市  麻生 勝行

人間の目の高さには見えないものが、かなたの見えるキリンには見える。おそろしい寓話(ぐうわ)。                           【 宇多 喜代子 選 】 


   震災地誄の如くに蕗の薹   松戸市  倉林 高次

「誄(るい)」は死者をたたえ弔う言葉のこと。その比喩として、蕗(ふき)の薹(とう)がなぜか似合う。ぽつりぽつりと、心をこめた言葉のような蕗の薹。
                                   【 正木 ゆう子 選 】


   応へつつ牛舎への道息白し   多摩市  高野 伸二

人の気配を知って、牛たちが呼ぶ。ある牛は「早く朝ごはんの干し草を」と。ある牛はただ人が来るのが嬉(うれ)しくて。人も声を出しつつ牛舎に近づく。どちらの息も白い。                               【 正木 ゆう子 選 】


  情報を鵜呑みにするな残高がこんなに少ない筈はあるまい
                            松戸市  内山 佑樹

目の前の通帳に期された、思いのほか少ない残高。信じたくない気持ちを、ネット社会の警句に託したところが、まことにユーモラス。残念ながら、正しい情報ではあろうが。                                【 俵  万智 選 】


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