目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   べつたりと指紋つきたり兜虫   東京都 天地 わたる

指紋がべったりついているものは何だろうか、と思って読み降ろしていくと、兜虫(かぶとむし)が現れる。以外であるが、子供の愛玩が想像できる。  
【 小澤  實 選 】


   YさんKさんH君も逝き七変化   滋賀県  足立 てるを

「七変化」は紫陽花(あじさい)の異称。この花が咲いている間にもあの人この人が逝ってしまう。頭文字で表記された方々は、たぶん作者の親しい方だったのだろう。身につまされる。                         【 宇多 喜代子 選 】


  書初めの筆の運びを思い出す恋は何度も下手くそのまま
                              横浜市   安西 大樹

墨で書く文字は、やり直しがきかない。特に書初めは緊張する。その感じが、何度しても慣れない恋と、うまく重ねあわされた。 たぶん下手くそのままだから、また恋に落ちる。                                【 俵  万智 選 】


   山百合がぬつと匂ひて家静か   国分寺市  松島  務

ぬっと現れる、など人を形容するオノマトペを山百合(やまゆり)に、しかも香りに使う面白さ。炎天の真昼。古く大きな家の中はひんやりと暗い。 【 正木 ゆう子 選 】


    唐辛子の花も咲かせて一人住む   枚方市  菅原 イツエ

清潔な白の小さな花。 実れば艶々(つやつや)と美しく、 ぴりりと辛い唐辛子。  上五の字余りまでが生きて、 この句の場合、 他のどんな花も唐辛子の代わりにはならないだろう。                          【 正木 ゆう子 選 】


   暑き日は熱き濃き茶を好み飲む   武蔵野市  相坂  康 

暑い日には、冷たいものよりも熱い茶がいいと感じられる年齢に選者もなっている。「熱き濃き茶」という畳みかけた表現に魅(ひ)かれる。    
  【 小澤  實 選 】


  似た人に会えたと賑わうバスの中 五百羅漢の森より出(い)でぬ
                              奈良市  甲斐田 八重

バスツアーの場面であろうか。五百羅漢の表情はさまざま。知人に似た顔もあれば自分に似た顔もある。見学が終わってバスの中に感想が飛び交う様子が目に浮かぶ。                                   【 栗木 京子 選 】 


   億年の進化の途中山椒魚   稲沢市  杉山 一川

何億年前にもこの山椒魚はこのような姿でのそりと生きていたのだろう。これからの億年間どう進化し、やがてどうなるのか。           【 宇多 喜代子 選 】


   汽水に尻みやじまとんぼ産卵す   広島市  大林  実

みやじまとんぼは、広島のみに棲息するとんぼで、絶滅の危機に瀕(ひん)している。汽水への産卵が特徴。無事であってほしいと祈る。     【 小澤  實 選 】



   独り言君をかすめてつばくらめ   山形県  小野 敏博

本当は君に聞き止めてほしかった呟(つぶや)きが、君に届かず、燕(つばめ)が飛ぶ空へ虚(むな)しく消えた。そう解釈すると、とても良く出来た失恋の句だ。事実かどうかは別。恋句は虚構でいい。                  【 正木 ゆう子 選 】


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