目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[226]  [227]  [228]  [229]  [230]  [231]  [232]  [233
   立春や吾を追い越すものばかり   秦野市  高堀 道子

歩く早さの他に、背の高さ等、諸々も含まれていそうだ。追い越すのは蝶々かもしれない。しかしそれも頼もしい事として、ゆっくり歩く作者。みんなお先にどうぞ                          【 正木 ゆう子 選 】


   ぶらんこをこぐやなみだのとまるまで   松山市  久保 栞

春は別れの季節、思わぬ涙を見ることもある。涙を見せたくないままに、ぶらんこをこいでいるのだ。ぶらんこという季語、うまいところで使って、おとなのものとした。                          【 小澤  實 選 】 


  大寒や起きてしまえば我のもの   つくば市  潮田  清

○ ○ してしまえば我のものと思うことは確かによくある。 試験に合格すれば。 この仕事が終わりさえすれば。 この句、たかが起床について言ったところが微笑ましい。                     【 正木 ゆう子 選 】


   万力の上にも一つ鏡餅   大牟田市  田頭 俊博

力仕事に欠かせぬ万力。歳の神の来臨にふさわしいところに置く鏡餅を「万力」の上にも置いた。田頭さんにとっては平素世話になっている大事な道具である。                         【 宇多 喜代子 選 】


   菱形に北海道の凍てにけり   桶川市  小林 茂之 

天気図からの発想か。「菱形の」であったらさほどでもなかったと思われるほど、上五の「に」は効いている。凍てがゆるまず氷のように菱形に固まったのだ。北海道全土の寒さをよく伝えている。      
【 宇多 喜代子 選 】



   枯野より便りありけり会ひに行く   上尾市  中野 博夫

かつて親密であったが、別れた後会うことが永く無く、すでに亡くなったと思っていた人からの便り、と読むことができる。生存がうれしくて、即会いに行った。「枯野」とは、枯れきった死の世界の象徴か。   【 小澤  實 選 】


   12月8日の瀞(とろ)の底知れず   東京都  望月 清彦

年毎のこの日を特別な思いで迎えるのは、1941年12月8日が日米の開戦日であることを知る人に限る。不安と複雑な感慨が去来する。
                              【 宇多 喜代子選 】


   山眠り山彦ひとり起きてゐる   千葉市  多賀谷 朋子

山彦といえば、山の神や山霊というよりずっと親しい感じがする。人間臭くさえあって、どこでどんなふうに冬を過ごしているのだろうと、想像に誘われるのも楽しい。                         【 正木 ゆう子 選 】


   みな佳き名さづかりしかな賀状書く   観音寺市  藤岡ひろみ

字の持つ意味に子の将来の幸せを託して名付けた名。そんな名を吟味しながら賀状を書く。手を使い相手のことを思いつつ書く賀状だからこそ湧く「さづかりし」の感慨。                    【 宇多 喜代子 選 】



  侘助(わびすけ)や文字に声ある母の文   東京都  望月 清彦

風邪をひかないようにと書いてあれば、そう言う母の声が聞こえる。間に理性の挟まる余地のない母ならではの句。息子ならでは、とも言えるかもしれない。                            【 正木 ゆう子 選 】


カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター