目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
今年また少年兵に茄子の馬 東京都 山口 照男
茄子や胡瓜を牛の形につくり、盆の魂棚に供える。精霊はこれに乗って家に帰ってくるとされる。今年もまた戦死した少年兵のために茄子の馬を供えて魂を迎えた句。 【 成田 千空 選 】
茄子や胡瓜を牛の形につくり、盆の魂棚に供える。精霊はこれに乗って家に帰ってくるとされる。今年もまた戦死した少年兵のために茄子の馬を供えて魂を迎えた句。 【 成田 千空 選 】
オイオイと呼ばれて母の日の母よ 西条市 平井 辰夫
母をオイと呼ぶ人とは、たぶんは葉のつれあいである父。それをいっこうに不幸だとは思わない母。そんな母が見える。 【 宇多 喜代子 選 】
間のありて父の入りくる帰省かな 神戸市 藤生 昇三
真っ先に出迎えてくれる母と違って、ひとまず落ち着いてから徐(おもむろ)に顔を出す父。わが父もそう、と頷く人は多いはず。父という存在の機微をとらえて、微笑ましくも切ない。 【 正木 ゆう子 選 】
母をオイと呼ぶ人とは、たぶんは葉のつれあいである父。それをいっこうに不幸だとは思わない母。そんな母が見える。 【 宇多 喜代子 選 】
間のありて父の入りくる帰省かな 神戸市 藤生 昇三
真っ先に出迎えてくれる母と違って、ひとまず落ち着いてから徐(おもむろ)に顔を出す父。わが父もそう、と頷く人は多いはず。父という存在の機微をとらえて、微笑ましくも切ない。 【 正木 ゆう子 選 】
今にして楽しかりけり蚊帳吊るは 東京都 高橋 静子
夜寝るとき、蚊を防ぐために蚊帳を吊った。 一と仕事であったが安眠できたし、今にして思えば楽しかったという。季節の情緒があった。
【 成田 千空 選 】
夜寝るとき、蚊を防ぐために蚊帳を吊った。 一と仕事であったが安眠できたし、今にして思えば楽しかったという。季節の情緒があった。
【 成田 千空 選 】
潔く夕立の中に入るりにけり 東京都 杉中 元雄
しばらくの待機で上がるのが夕立なのだが、もう待てないと決めて、エイッと雨の中に出て行った。決心のほどうかがえる句だ。 【 宇多 喜代子 選 】
しばらくの待機で上がるのが夕立なのだが、もう待てないと決めて、エイッと雨の中に出て行った。決心のほどうかがえる句だ。 【 宇多 喜代子 選 】
熱帯夜一時か一時半か打つ 東京都 米倉 ひさき
寝苦しい夜。柱時計がボンと鳴る。一時か。それとも「半」の音か。誰もが経験したことのある真夜中の小さな疑問。普通なら言いもしないのだが、それを言うのが俳句。 【 正木 ゆう子 選 】
寝苦しい夜。柱時計がボンと鳴る。一時か。それとも「半」の音か。誰もが経験したことのある真夜中の小さな疑問。普通なら言いもしないのだが、それを言うのが俳句。 【 正木 ゆう子 選 】
梅干の一つ一つを裏返す 狭山市 岡 秀雄
特別のことが書かれているわけではないのに、一読すっと胸に落ちる。まことに単純な句だが、誰にも書けそうだと思わせるところがこの句の力となっている。 【 宇多 喜代子 選 】
特別のことが書かれているわけではないのに、一読すっと胸に落ちる。まことに単純な句だが、誰にも書けそうだと思わせるところがこの句の力となっている。 【 宇多 喜代子 選 】
沖縄忌天から涙のやうなもの 筑紫野市 和田 あきお
天からも地からも涙が溢れてくる。 句作の契機としては、この日の雨だったのかもしれない。「沖縄忌」は6月23日。切ない。 【 宇多 喜代子 選 】
この句を読み、毎年6月23日は雨が降ってほしいと思いました。
( それも、ほんの一、二滴・・・。 )
母となりても同じさみしさ蛍狩 四日市市 長谷川 光代
家族がいても、華やかに見えても、誰の心にも根底には寂しさがあるものなのだろう。しかし深く読めば、その寂しさの中にこそ真の安心があると解釈することも出来る。 【 正木 ゆう子 選 】
家族がいても、華やかに見えても、誰の心にも根底には寂しさがあるものなのだろう。しかし深く読めば、その寂しさの中にこそ真の安心があると解釈することも出来る。 【 正木 ゆう子 選 】
海の石拾ひて遠き過去も夏 長野市 上野 ただし
この海には遠い昔に一度来たことがある。あの時も夏だった、というのだ。
二つの夏に挟まれて過ぎた作者の歳月。海にとってみれば一瞬のような歳月。 【 正木 ゆう子 選 】
この海には遠い昔に一度来たことがある。あの時も夏だった、というのだ。
二つの夏に挟まれて過ぎた作者の歳月。海にとってみれば一瞬のような歳月。 【 正木 ゆう子 選 】
卓上に鋏残して薔薇匂ふ 山形市 大滝 松太郎
鋏はまだ濡れているのだろう。切られた茎や葉が散らばっており、匂いの主である薔薇は運ばれて目の前に無い。無いから一層芳しい。
【 正木 ゆう子 選 】
鋏はまだ濡れているのだろう。切られた茎や葉が散らばっており、匂いの主である薔薇は運ばれて目の前に無い。無いから一層芳しい。
【 正木 ゆう子 選 】