目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[222]  [223]  [224]  [225]  [226]  [227]  [228]  [229]  [230]  [231]  [232
   朝取りのトマトに星の匂ひあり   相模原市  芝岡 友衛

朝もいだトマトの芳香を「星の匂ひ」と詠んだ。夜中に星が育てたか。星の養分を吸って育ったか。いずれにしても、不思議。 収穫のトマトのみずみずしさも感じられる。                      【 小澤  實 選 】


   夜光虫親より友を選びし日   広島市  佐保 光俊

親が絶対だった子供時代から、思春期に入って、初めて友達を優先した思い出だろう。親が止めるのを聞かず、夜の海へ行って見た神秘の煌(きら)めき。季語が抜群に効いている。             【 正木 ゆう子 選 】


   黙祷の8時15分広島忌   東京都  杉中 元敏

昭和20年8月6日。広島市に世界最初の原子爆弾が落とされ、最初の4ヶ月間で約13万人が亡くなった。毎年広島市平和記念公園では平和祈念式が行われ投下された8時15分に黙祷が捧げらる。
                               【 森  澄雄 選 】


   うたた寝もかなはぬ月下美人の夜   大分市  櫛来 正宣

この句も、名前に美人とあるからには恋の気配を感じ取りたい。恋でなくても恋であるかのように詠み、読む。それも俳句の楽しさ。 【 正木 ゆう子 選 】


   戦歴は語ることなき生身魂   銚子市  久保 正司  

いつもはよく語ってくれる老人だが、自身の戦歴のことになると、一切、口を開かない。戦場でたいへんなことがあったのだろう。 ことに盆、戦友のことを思ってもいよう。                        【 小澤  實 選 】


   風鈴のよく鳴る夕べ妻の留守   倉吉市  西尾 昭之助 

風鈴はいつもと同じように鳴っているのだろうが、いつもは妻の声や妻の動きなどで耳に入らなかったのだろう。妻の居る時より留守の時のほうに、妻の存在は大きく感じられるようである。           【 宇多 喜代子 選 】


   二人征き兄は還らず大文字   名古屋市  植木 照男

太平洋戦争に兄弟で出征市、兄は還らなかったのだ。 8月16日の夜、京都東山如意ヶ岳を中心に行われる大文字に、兄を偲(しの)んでいる。 
                                【 森 澄雄 選 】


   生身魂あれもこれもと言うふなかれ   東京都  白木 静子

盆には死者を祀(まつ)るだけではなく、生きている親など目上の者に対して礼を尽くす。その目上の者が生身魂(いきみたま)。敬すべき生身魂が元気でいろいろと注文をつけてきて、対応できない。まさに、現代の生身魂である   
                                【 小澤  實 選 】


   玉音は十五の夏や終戦日   弘前市  岩田 秀夫   

玉音は天皇の声。 昭和20年8月15日に、終戦の詔勅(しょうちょく)を告げる玉音放送があった。 よく聞き取れないが忘れがたい声であった。
「十五の夏」も強く印象に残る。             【 成田 千空 選 】



   大仏のわずかに動く暑さかな   高岡市  杉本  透

この句のよさは「わずかに動く」にある。「動くようだ」「動いたように見えた」では言葉の瞬発力が消える。堪(たま)らない暑さの感じられる句。    
                             【 宇多 喜代子 選 】


これを読んで、昔(’06.06)、日記帳にメモした句を思い出しました。
 木のちから盛りあがりたり夏の山   四街道市  佐野 素子 
                             【 宇多 喜代子 選 】
   「木のちから盛りあがりたり / 夏の山」と詠むべきところを、
   「木のちから / 盛りあがりたり夏の山」と詠んでしまい、
   全然違う解釈をしていました。お恥ずかしことです。


カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター