目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   朝顔の深き花芯に落ちてみん   東京都 東 賢三郎

羽虫か何かになって、朝顔の花の奥に落ちたら、どんな気持ちがするだろうか。やわらかな色に照らされて、酔ってしまうのではないか。新しい視点からの花の句である。                       【 小澤  實 選 】


  食(け)と言われ 食(く)とこたへ食ふ づんだ餅   
                            福島県 黒沢 正行   

食べなさいと言われて、食べますと答えて食べた。これが方言だと、こんなに
楽しい句になる。ルビがなければ、さてどう読むだろうというクイズになりそうだ
                              【 正木 ゆう子 選 】


   あの道は別の人生遠花火   秋田市  中村 栄一

些(いささ)かの甘さはあるかもしれないが誰もが持つ普遍的な感慨でもあろう。 少しの違いではなく、別の人生というところに、振り返って知る人生の怖ろしさが感じられる。                 【 正木 ゆう子 選 】


   きらきらと をのこのゆまり 秋の風   東京都  吉竹  純  

男の子の立小便を秋風が吹き飛ばしていく。飛沫(しぶき)が太陽にきらめいている。上五中七のひらがなも飛沫を感じさせていい。不潔な感じがしないのは、「秋の風」の力か。                【 小澤  實 選 】
                                                      



   送り火の大きく揺れてみんな発つ   青梅市  藤崎 嶺雲

送り火の句にしては珍しくさらっとした詠み方が特徴的。「みんな」という言い方に、多くの愛する人を見送った人生がうかがわれ、大らかな諦観 (ていかん)が感じられる。                    【 正木 ゆう子 選 】


   夕立去り町一斉に立上がる   横浜市  藤田 顕英

夕立にしばし止まっていた町の機能の再開を、「立上がる」と捉(とら)えたのが独特で、実感がある。一人一人の人間の集合であると同時に、町も一つの生き物のよう。                     【 正木 ゆう子 選 】


   八朔の田に天の水たまはりぬ   津市  中山 いつき

八朔(はっさく)とは8月1日のこと。田植えの日から稲が稔るまで、五風十雨の恵みが順調でありますようにと天を仰いで祈る。 まさに「たまはりぬ」の想いである。                      【 宇多 喜代子 選 】


   飛込みのはがねのごとくしなりけり   加須市  松永 浮堂

わずか何秒かのポーズだが、競技に見る飛び込みの選手の肢体のしなやかさには驚く。それでいて強靭。              【 宇多 喜代子選 】


   夜長人酔うて涙を零(こぼ)しけり   厚木市  山本 啓介

秋の夜長を過ごす人を「夜長人」と呼ぶ。酔って昔を懐かしんでは泣くのか。精神的な内容だが、情緒に流されずに、しっかりと描写したのがいい。自画像かもしれない。                     【 小澤  實 選 】


   水を得し魚の如くに踊るなり   泉佐野市  向井 克之介

盆の13日から16日にかけて、町や村の広場で盆踊りが行われる。素朴で単純な踊だが、楽しさがあふれて身も心も軽くなる踊である。
                               【 成田 千空 選 】



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