目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
足跡の集まる雪の無言館 牛久市 清水 秋生
戦没画学生の絵を展示する無言館は上田市にある。生と死を越えたその場所の集まる足跡は、生者のものばかりではないかもしれない。
【 正木 ゆう子 選 】
戦没画学生の絵を展示する無言館は上田市にある。生と死を越えたその場所の集まる足跡は、生者のものばかりではないかもしれない。
【 正木 ゆう子 選 】
春雨の石に吸わるる利休の忌 仙台市 佐藤 庄陸
利休忌は陰暦2月28日。 春の細く降る雨を石が弾(はじ)かずにやさしく吸うように降る。 【 宇多 喜代子 選 】
利休忌は陰暦2月28日。 春の細く降る雨を石が弾(はじ)かずにやさしく吸うように降る。 【 宇多 喜代子 選 】
花束に隠るる男年度末 東京都 吉竹 純
今期で退職していく男が花束をもらった。もらいなれていない花束で顔が隠れてしまう。男の心の内には、照れくささやさみしさや悔恨が渦巻いているか。「年度末」を季語として扱っているのは初見。 【 小澤 實 選 】
今期で退職していく男が花束をもらった。もらいなれていない花束で顔が隠れてしまう。男の心の内には、照れくささやさみしさや悔恨が渦巻いているか。「年度末」を季語として扱っているのは初見。 【 小澤 實 選 】
咳もなく熱も無く過ぐ春の風邪 出水市 小島 さとし
俗に「風邪と腰痛には見舞いが来ない」というが、咳き込むでもなく熱もない春の風邪であれば、ただ日を過ごすより仕方がない。 【宇多 喜代子 選】
俗に「風邪と腰痛には見舞いが来ない」というが、咳き込むでもなく熱もない春の風邪であれば、ただ日を過ごすより仕方がない。 【宇多 喜代子 選】
雛の宵子育てに悔なけれども 習志野市 西関 真理子
悔いは無けれども。何なのか。最後の「も」のニュアンスが複雑。助詞ひとつにこれだけの思いが込められるのも、短詩形ならでは。 【正木 ゆう子 選】
悔いは無けれども。何なのか。最後の「も」のニュアンスが複雑。助詞ひとつにこれだけの思いが込められるのも、短詩形ならでは。 【正木 ゆう子 選】
3月は待つこと多し机買う 竹原市 岡元 稔元
子供の机だろう。新しい机は新しい生活の象徴のようなもの。上から読み下してきて、下五で具体的なモノに帰着する呼吸がいい。【正木 ゆう子 選 】
子供の机だろう。新しい机は新しい生活の象徴のようなもの。上から読み下してきて、下五で具体的なモノに帰着する呼吸がいい。【正木 ゆう子 選 】
一人だけ老人のまま春の夢 泉南市 平川 よねお
他はみな若いときの姿なのに、自分だけ現実のままなのだ。もしかしたら若くして死んだ人たちの夢か。過去に向かって使われた「まま」に、時間の不思議さが感じられる。 【 正木 ゆう子 選 】
他はみな若いときの姿なのに、自分だけ現実のままなのだ。もしかしたら若くして死んだ人たちの夢か。過去に向かって使われた「まま」に、時間の不思議さが感じられる。 【 正木 ゆう子 選 】
御身拭くすぐったいぞ腋(わき)の下 岩手県 祝田 幸治
「御身拭」は京都の清涼寺で4月19日営まれる法会。釈迦像を白布で洗い清める。像とともにくすぐったがっているのが、楽しい。 【 小澤 實 選 】
「御身拭」は京都の清涼寺で4月19日営まれる法会。釈迦像を白布で洗い清める。像とともにくすぐったがっているのが、楽しい。 【 小澤 實 選 】
天にものみな雪となる夕べかな 市川市 杉森 日出夫
「天のもの」が大らか。つまりは「雲」ということなのだろうが、この言い方によって、光などの天上的な物まですべてを含んでいるように感じられる。
【 正木 ゆう子 選 】
「天のもの」が大らか。つまりは「雲」ということなのだろうが、この言い方によって、光などの天上的な物まですべてを含んでいるように感じられる。
【 正木 ゆう子 選 】
19の冬徴兵検査を受けにけりいま成人式を羨(とも)しみて見る
志布志市 小村 豊一郎
そう、徴兵官の軍人にどなられ、寒さに耐えて検査を受けた。中でも、性病の有無を調べるM検の屈辱感は誰しも胸に秘して、国の為という名目で耐えたのであった。 【 岡野 弘彦 選 】
志布志市 小村 豊一郎
そう、徴兵官の軍人にどなられ、寒さに耐えて検査を受けた。中でも、性病の有無を調べるM検の屈辱感は誰しも胸に秘して、国の為という名目で耐えたのであった。 【 岡野 弘彦 選 】