目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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 人なくば神もなからん奥山の石の祠の供物あたらし   
                       町田市  川口  順

石の祠(ほこら)に花や食べ物を供える人々。 その真心があればこそ、神様はありがたい存在になる。硬質の上句とこまやかな下句が絶妙に響き合って格調高い一首になっている。              【 栗木 京子
選 】


     傘(からかさ)をしづくで返す律義者      『柳多留』

雨降りに傘を借りたら日に干して返す。これが江戸の礼儀と言うものだった。
当時の傘は紙張りだから濡れたままだと傷んでしまうからだ。 ところが、何でも借りたらすぐ返す律義者が濡れたまま返してきた。借金ならともかく傘は困る。                          【 四季 ・ 長谷川 櫂 】


    八月のカレンダーにて紙ヒコーキ   水戸市  大野 太加し

ついに8月が終わった。無用となった8月のカレンダーで紙ヒコーキを折る。
ただそれだけのことだが、夏の終わりを感じさせる。    
                   【 宇多 喜代子 選 】 ( ’07.10.08 )


   蛇いつも前へ前へと進みけり   町田市  枝沢 聖文

蛇が前にしか進めないという生態を前進の象徴としてとらえている。この理論を言葉で語ることは至難だが、蛇に託し、蛇に語らせるとそれが言える。俳句形式の力はすごい。       【 宇多 喜代子 選 】 ( ’08.06.02 )


   大志抱く帰省子なれば昼まで寝   さいたま市  藤井 健治

帰省子を迎えた両親が、眠ってばかりいる息子を無理やり認めている趣。「大志抱く帰省子」と「昼まで寝」のずれにおかしみがある。
                              【 小澤  實 選 】


   夏雲を見て戦争の話する   西尾市  小笠原 玲子

夏雲から戦争を連想するのは第二次大戦を経験した世代か。選者などもその世代として共感する。その根絶のために戦争は語りつがなければならない。                            【 矢島 渚男 選 】


    父母は涼しき風の中にいる    松阪市  西浦  優

「父母」が涼しい風に吹かれている。子にとって、こんな心安らぐことはない。「父母」のおられるのはもしかしたら彼岸か。一入(ひとしお)の思いがつのる。                           【 宇多 喜代子 選 】



   叔父の妻眩(まぶ)しき昔栗の花    府中市  伊藤 博之

兄嫁に憧れるという話ならいくらでもあるが、叔父の妻に憧れる少年は希かもしれない。伯父ではなく叔父。年が近いのだ。   【 正木 ゆう子 選 】


   悪友と焼酎と詩とバンガロー    甲府市  中村  彰
   
自分にとって大切なものを四つ集めたら一句になった。焼酎とバンガローだけでも充分楽しそうだが、詩の一字が効いている。男ばかりの至福の夜か。  
                              【 正木 ゆう子 選 】


   子供らはつひにふりちん夏の川   東村山市  藤巻 治郎

川遊びの子供たちは、流れやいきものに集中している。いつか、着ているものはすべて脱ぎさってしまった。夢中な様を巧みに見せている。  
                               【 小澤  實 選 】


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