目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   小さき円小さき楕円運動会   津市  松永 京子

輪になってお遊技をしたり、小さなトラックで駆けっこをしたり。そうと言われなくても幼稚園の運動会とわかる。あれ、こんなに小さかったっけ、という小ささなのだ。                           【 正木 ゆう子 選 】

   ちちろ虫このちちろにも親のあり   小諸市  下遠野よし子


 たまくしげ箱根のみうみけけれあれやふたくにかけてなかにたゆたふ  
                     源 実朝 ( みなもとのさねとも )

「たまくしげ」は箱根の枕詞(まくらことば)。「箱根のみうみ」芦ノ湖には心があるのだろうか、相模と駿河の二国の間で漂っているのは。 湖を詠みながら二人の男の間で揺れる女心、あるいは、その逆の場面を思わせる。東国では心を「けけれ」といった。             【 四季 ・ 長谷川 櫂 】


   爺ちゃんの後出しはグウ赤のまま   柏市  藤嶋  務

孫とジャンケンをする。 爺ちゃんは孫に勝たせるためか、動作が鈍いためか、後出しした。孫を隠した面白い詠い方である。   【 矢島 渚男 選 】


   一性悪猫として生き赤のまま   杉山 久子

猫の運命はさまざま。深窓で大事に飼われる猫もいれば、道端で一生を終える猫もいる。この猫は後者。子猫のうちに捨てられ、悪さも覚え、決してほめられたものでないにせよ、野良猫として堂々と生きていく。それはそれで立派なこと。                       【 四季 ・ 長谷川 櫂 】



  少年の日のごと無職赤とんぼ   愛知県  北出 風光

現在は無職。まるで少年時代のよう。赤トンボなどを見つめて。
                                
 【 矢島 渚男 選 】


 燃えあがる炎のごとく曼珠沙華一言主の社(やしろ)にせまる
                          奈良県  増田 福三 

彼岸になると忽然と地から燃え出る異形の花。 大和の西の涯(はて、きし)の葛城山に鎮(しず)まる異形の神、葛城一言主の神の社にその花が炎々と燃え迫って咲くすさまじい光景である。      【 岡野 弘彦 選 】


   秋袷(あわせ)母の一生わがために    鈴木 榮(栄)子  

子どものためなら黙って耐え忍ぶ。ときには鬼にもなる。人の親とはそういうものだ。子どもは何も知らないが、人生のあるとき、はっと気がつくことがある。
秋、単(ひとえ)で心もとないとき、袷を出して着る。これが秋の袷。   
                            【 四季 ・ 長谷川 櫂 】


   蜩やみんな帰ってしまひたる  枚方市  加藤  賢 

蜩(ひぐらし)が鳴き始めると夏も終わり、遠い時間に誘われる様な気持ちが募る。 夏休みの間、集まっていた人たちも帰ってしまった。 淋しさに湿りがなく、うまく表現されている。              【 宇多 喜代子 選 】


 留守の間に七個の梨置き帰られしあの人この人思いめぐらす   
                         美馬市  笠井 定子

メモを残すでもなく梨だけ置いて去っていった控えめな知人。心当たりが何人もいるのがうらやましい。作者の人徳であろう。 「帰られし」の丁寧な表現が心に残る。                       【 栗木 京子 選 】


 死ぬときは跡を残さず聖域の本の処分を決断したり   
                        太田市  栗原 美知雄

読書こそ生きる証とさまざまの本に接してきた。家族は必ずしもそうではない。 生前に整理しておかないと彼らが困る。断腸の思いとはこの事であろう。共感しきり。                      【 小池  光 選 】


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