目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  これしきで漏らすまいとて放屁虫   東京都  池田 洸生

こずかれ、いじめられても、放屁はすまいとじっと我慢している放屁(へひり)虫。「これしきで漏らすまい」という俗語が生かされている。   
                               【 矢島 渚男 選 】


 不来方(こずかた)のお城のもみじ愛でながら空を見上げる七十五歳
                            小平市  栗原 良子

啄木 「 不来方のお城のあとの草に臥(ね)て空に吸はれし十五の心 」。
それから星霜60年が過ぎて、こういうすてきな秋の一日があったのであった。
光陰矢の如し。 ( 不来方= 盛岡の雅称 )            【 小池  光 選 】


  ひそむもの何も見えざる枯野かな   寝屋川市  大西 嘉弘

枯野にはたくさんの生き物たちがひそんでいるはずだが、少しもその気配は感じられない。                        【 矢島 渚男 選 】


  三四郎それから門へ秋深む   愛知県  北出 風光
 
言うまでもなく夏目漱石の三作品。『三四郎』 『それから』と読みついで、『門』へ入ったというのだろうか。折から秋が深まってきた。「それから」が巧みに使われている。                     【 矢島 渚男 選 】


  地に重き記憶あるべし曼珠沙華   三原市  上脇 立哉

曼珠沙華は不思議な花だ。突然現れて消え、花のあとに青々と葉を茂らせて春が更けると跡形もない。死人花の名もあり、不気味でもある。江戸時代には飢饉(ききん)に際しての救荒作物だったこともある。きっと地下に「重い記憶」が蓄えられているにちがいない、というのである。 【矢島 渚男 選】


  台風にこと寄せて聞く子の暮らし   茅ヶ崎市  清水 呑舟

父親たるもの、用もないのに子供に電話など掛けられない。台風見舞いにかこつけて、やっと暮らしぶりも聞くことができたのだろう。内容・表現ともに穏やかで、温かい。                    【 正木 ゆう子 選 】


 買うことも貰うこともなき胡蝶蘭大臣室にずらりと並ぶ   
                         名古屋市  平野のり子

鳩山内閣が誕生して新大臣が次々に決まった。お祝いに贈られるのはなぜか胡蝶蘭ばかり。胡蝶蘭に恨みはないが、その画一性が気になる。上句に違和感が表れている。                  【 栗木 京子 選 】


   秋深し砂丘のすなに靴を脱ぐ   横浜市  岡部  重喜

深秋の砂丘に裸足になって踏み入る。足の裏で砂の感触を味わおうとしているのか。砂丘の端に置かれた靴と砂上に続く足跡が美しい。
                               【 小澤  實 選


   もはや人畏れぬことも秋の蝶   神奈川県  西田 克憲

畏(おそ)れないのは、逞(たくま)しいからでも大胆だからでもない。 もう人を畏れる余裕さえなくなった秋の蝶の捨て身の哀れ。作者の優しく鋭い視線が感じられる。                     【 正木 ゆう子 選 】


 銀杏が落ちて来るのを待っていたいじらしの日よ遠い風の日よ 
                          西条市  杉野 久男

いじらしい日を「いじらしの日」とトリッキーに言っておもしろい。「懐かしのメロディー」と同じ。 風吹けど銀杏落ちず。         【 小池  光 選 】


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