目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[199]  [200]  [201]  [202]  [203]  [204]  [205]  [206]  [207]  [208]  [209
   涅槃図の赤鬼の泣きじやくりけり   
                東京都  寺沢あつこ   【 小澤  實 選 】


  万が一の私のための九千と九百九十九の私   
                東京都  加藤あんぷ  【 小池  光 選 】



   子規走る打つ捕る投げる桜舞う   町田市  中野 里梢

正岡子規の野球好きは有名。打者・走者などの用語を訳したのも彼だとか。一句に動詞が五つ。こんな破天荒を子規ならば喜びそう。 
                               【 正木ゆう子 選 】



   全員の髪黒々と新社員   東京都  岩崎 美範

新社員の男女すべての髪が黒々としている。ただ、一人として髪を染めているものはいない。黒髪にあらざるものは入社を許されぬのか。ちょっとこわい景でもある。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   百人の新入社員黒スーツ   さいたま市  藤井 健治

こちらは百人の新入社員全員が、例外なく黒スーツを着ている。厳しい就職戦線の勝者なのだが、どことなく重苦しさを覚えるのだ。 
                            【 共に、小澤  實 選 】


    風車ほがらほがらとよく廻る   土浦市  田宮 よし

なんと楽しい句だろう。「ほがらほがら」を味わうだけで、風車が春の季語として歳時記に採用されていることに納得がゆく。    【 宇多 喜代子 選 】


  水面を見れば小石を投げたがる男は平和を好まぬらしい
                        鹿児島市  地原 陽子

男って、どうしてこういう場面で、こういうことをするんだろう。下の句には異議もあるかもしれないが、男女の不思議な違いをとらえた歌として、面白い。 
                                 【俵 万智 選 】


【 参照 】
 ( 09.02.10 正木 ゆう子 選 )

   石投げて何呼び戻す冬の海   愛西市  坂元 二男
     そういえば男は水を見ると石を投げたがる。あれは何かを呼び戻して
     いたのか。春や夏や秋でなく冬の海であるところがいい。   
 
 ( 10.06.03 週刊文春・川柳 )
   理科系のロマン川原の石ひとつ   ( 北海道 結城 静 63歳 )
      あ、それちょっと文系入ってる。  

   


   いとざくら枝も散かと思ひけり     嘯山(しょうざん)

短い俳句では言葉の勢いが一句の成否を決することがある。この句は好例。糸桜は枝垂れ桜のことだが、滝の水のように枝垂れ落ちる枝の勢いが「枝も散(ちる)かと思ひけり」という言葉を一気に誘い出す。こうして落下を急ぐ枝垂れ桜を描いた。              【 四季 ・ 長谷川 櫂 】


   垂涎の名酒並ぶや花筵   さいたま市  藤井 健治

人の花見をちょっと覗(おぞ)いてみた。筵(むしろ)に飲んでみたい銘柄の一升瓶がずらりと並んでいたのだ。酒好きにとって、うらやましい景である。
                               【 小澤  實 選 】


   草萌えてその草を引く職得たり   三木市  藤木 紫風

せっかく得た仕事だ。仕事大事と思いつつ、生えてきたばかりの若草を引く。
                             【 宇多 喜代子 選 】


 (もう電話しないで) という音楽を着信にしてずっと待ってる
                         東京都   加藤あんぷ

複雑な心理を普段着のことばでシンプルに綴って、機知に富む。拒絶というかたちのひとつの待ち方。今日も着信はなかった。    【 小池  光 選 】



カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター