目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
化粧する見目(みめ)よき若きをみなゐて退屈させぬ都の電車
埼玉県 小林 道子
社内で化粧をする人を批判する歌はよくあるが、作者は見とれている。
美女が手際よく化粧している姿は、たしかに見応えがあるかもしれない。
「都の電車」も楽しい。 【 栗木 京子 選 】
埼玉県 小林 道子
社内で化粧をする人を批判する歌はよくあるが、作者は見とれている。
美女が手際よく化粧している姿は、たしかに見応えがあるかもしれない。
「都の電車」も楽しい。 【 栗木 京子 選 】
大空を飛びたき扇風機もあらむ 松山市 久保 栞
深読みするまでもなく、想像の翼を思い切り広げた句。確かに、ヘリコプターも飛べるのだから、扇風機だって飛べるはず。 【 正木 ゆう子 選 】
深読みするまでもなく、想像の翼を思い切り広げた句。確かに、ヘリコプターも飛べるのだから、扇風機だって飛べるはず。 【 正木 ゆう子 選 】
草倒すことなく蛇のすすみけり 東京都 望月 清彦
蛇は草と草の間を巧みに抜け進んでいく。 草を倒すことはいっさいない。 蛇の生態を小気味よく描く。歩くと草を倒さざるをえない人との対比も意識されていよう。 【 小澤 實 選 】
蛇は草と草の間を巧みに抜け進んでいく。 草を倒すことはいっさいない。 蛇の生態を小気味よく描く。歩くと草を倒さざるをえない人との対比も意識されていよう。 【 小澤 實 選 】
いつの間に夏蝶いつの間に消える 神戸市 西塚 洋子
夏蝶が身にまつわりつく。消えたり現れたりしながら離れない。「いつの間に」には、ついこの間までは春だったのに、という思いもあってのことであろう。
【 宇多 喜代子 選 】
夏蝶が身にまつわりつく。消えたり現れたりしながら離れない。「いつの間に」には、ついこの間までは春だったのに、という思いもあってのことであろう。
【 宇多 喜代子 選 】
沖縄より帰る機上に見まもりぬ本土の楯となりし島々
松本市 衣川 朝子
沖縄の戦跡をたずねて帰路の思い。沖縄本島とその周辺の島々、さらに鹿児島まで「道の島」が点在する。「大和」の沈んだのもそのあたり。下の句の思いは深い。 【 岡野 弘彦 選 】
松本市 衣川 朝子
沖縄の戦跡をたずねて帰路の思い。沖縄本島とその周辺の島々、さらに鹿児島まで「道の島」が点在する。「大和」の沈んだのもそのあたり。下の句の思いは深い。 【 岡野 弘彦 選 】
日覆(ひおおい)や豆腐の水の薄みどり 及川 洋
上五の「日覆や」に対して、中七下五の措辞は繊細で美しい表現。全ての例句を凌ぐ秀吟。 【 魂の一行詩・角川 春樹 】
上五の「日覆や」に対して、中七下五の措辞は繊細で美しい表現。全ての例句を凌ぐ秀吟。 【 魂の一行詩・角川 春樹 】
日輪を呑みたる蟇(ひき)の動きけり 橋 閒石 (はし かんせき)
あなたが太陽を呑みこんだところを想像すればいい。お腹(なか)に納まった太陽は空にあったときのように、なおも動こうとするだろう。蟇もそれを抑えるわけにはゆかない。仕方なく一歩二歩と動くわけだ。大きなお腹の中の太陽に促されて。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 】
あなたが太陽を呑みこんだところを想像すればいい。お腹(なか)に納まった太陽は空にあったときのように、なおも動こうとするだろう。蟇もそれを抑えるわけにはゆかない。仕方なく一歩二歩と動くわけだ。大きなお腹の中の太陽に促されて。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 】
あめんぼに雨の一滴命中す 町田市 枝沢 聖文
水上のあめんぼに一滴の雨が当たった。あめんぼにとっては大きな水の塊で驚いただろうが、次の瞬間には態勢を整える。清涼な世界だ。
【 矢島 渚男 選 】
水上のあめんぼに一滴の雨が当たった。あめんぼにとっては大きな水の塊で驚いただろうが、次の瞬間には態勢を整える。清涼な世界だ。
【 矢島 渚男 選 】
あまさずに使ふどくだみ魔女暮らし 伊勢崎氏 中野 千秋
干してお茶にしたり、 お風呂に入れたり。 薬にしたり、 化粧水を作ったり。
なんといっても「魔女暮らし」が面白い。「暮らし」まで入れて名詞化した点、芸が細かい。 【 正木 ゆう子 選 】
干してお茶にしたり、 お風呂に入れたり。 薬にしたり、 化粧水を作ったり。
なんといっても「魔女暮らし」が面白い。「暮らし」まで入れて名詞化した点、芸が細かい。 【 正木 ゆう子 選 】
わが家と然程変らぬ浮巣なり 厚木市 山本 啓介
浮巣は水面に浮く鳰(にお)の巣。枯葦や自分の羽で作った簡素な巣を見ながら我が家も似たようなものだと思う。無常の波に曝(さら)されて生きている悟りにも似た思いが感じられる。 【 矢島 渚男 選 】
浮巣は水面に浮く鳰(にお)の巣。枯葦や自分の羽で作った簡素な巣を見ながら我が家も似たようなものだと思う。無常の波に曝(さら)されて生きている悟りにも似た思いが感じられる。 【 矢島 渚男 選 】