目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   父偲(しの)ぶとは語ること盆の客  松戸市  倉林 高次  

盆である。父を知る人が拝みに来る。その人と生前の父のことを語っていると、父のことがありありと思い出されてくるのである。   【 小澤  實 選  】


 尼二人陀羅尼(だらに)を唱え毛虫焼く   名古屋市  可知 豊親 

尼寺も毛虫退治をしないと、緑が失われる。 他者の命を奪うことは、仏に禁じられていることだが、呪いを唱えつつ毛虫を焼く。  【 小澤  實 選  】


   蛍の火闇は大きな女体にて   鹿嶋市  津田 正義

意外かつ大胆な比喩。百パーセントではないが、なんとなくわかる。この比喩、逆から発想したのかもしれない。女体が闇のよう、だと。比喩を逆転させてみるのも面白い。                    【 正木 ゆう子 選 】


   胸に来し蛍払ひしこと惜しむ   那須烏山市  佐藤 利夫 

驚いてとっさに手で払ってしまった蛍。惜しむというより、謝っているような句である。せっかく寄ってきてくれたのに、という優しさ。    【 正木 ゆう子 選 】


  曝書(ばくしょ)せり捨てよ捨てよと言はれつつ   
                        町田市  風間 良富 

邪魔だから捨ててほしいと言われている書物だが、愛着があって、どうしても捨てられない。苦言を呈されても、断固虫干しをするのだ。【小澤 實 選 】


  登校をこばみ自室にひき籠もり四年目の児が金魚にもの言ふ
                        名古屋市  浅井 清比古

自閉的な子の生活の中に、ひと筋の明るさとなごやかさを見いだした歌で、最後のところでほっと心が救われる。          【 岡野 弘彦 選 】



ハンカチに欠伸(あくび)を包む女(ひと) 見惚れいる間にわれに移れり
              竹原市  岡元 稔元    【 小池  光 選 】


  去年の今日つらいことでもあったかな五年日記が空欄のまま
             東村山市  高野 珠遥     【俵 万智 選 】


   梅の実のかほりのやうな別れかな   西尾市  小笠原 玲子

梅の実はじつに良い香りがする。甘さを秘めて清々しく、漬ければ何年でも保存できる強さも備えた香り。そんな別れはきっと人生の宝。
                               【 正木 ゆう子 選 】


  指先で顔をあちこち押してみる確かに中に骸骨がある
                          仙台市  岩間 啓二

思わず、わたしも同じことをしてみた。 同じことをさせるのは歌の力である。
わたしにも確かに骸骨があるらしい。 それがどうしたというなかれ。 オソロシイではないか。                        【 小池  光 選 】


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