目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
夏草に銃置きわれ等シベリアへ 帯広市 吉森 美信
突如侵入したソ連軍により武装解除され、捕虜としてシベリアへ抑留された過酷な過去を詠う。「夏草に銃置き」という具象性によってまざまざと現代によみがえった。 【 矢島 渚男 選 】
突如侵入したソ連軍により武装解除され、捕虜としてシベリアへ抑留された過酷な過去を詠う。「夏草に銃置き」という具象性によってまざまざと現代によみがえった。 【 矢島 渚男 選 】
八月やあれやこれやと腹の立つ 新城市 生田比呂志
思わず「生田さん、同感」と叫んだ句。同感と思わせるあれこれを具体的に言わぬよさ、俳句でこういうことが言えたというよさ。 【 宇多 喜代子 選 】
思わず「生田さん、同感」と叫んだ句。同感と思わせるあれこれを具体的に言わぬよさ、俳句でこういうことが言えたというよさ。 【 宇多 喜代子 選 】
母受けし戦死公報夏の月 那須烏山市 佐藤 利夫
自分も受けたはずの父の悲報。母だけが受けたと読めることから、作者の当時の幼さがわかる。母は一人で悲しみを受け止めたのだろう。
【 正木 ゆう子 選 】
自分も受けたはずの父の悲報。母だけが受けたと読めることから、作者の当時の幼さがわかる。母は一人で悲しみを受け止めたのだろう。
【 正木 ゆう子 選 】
蜥蜴来て夢にものいふ昼下り 東京都 小島 信子
昼寝の夢の中にトカゲが出てきて、人語を言う。蝶でも鳥でもなく、蜥蜴であることに、奇妙な味わいがある。現実のものではないが、庭で見ていよう。存在感がある。 【 小澤 實 選 】
昼寝の夢の中にトカゲが出てきて、人語を言う。蝶でも鳥でもなく、蜥蜴であることに、奇妙な味わいがある。現実のものではないが、庭で見ていよう。存在感がある。 【 小澤 實 選 】
大玉の西瓜を求めよく冷やし猛暑猛暑と妻と食い合う
草加市 斉藤 宏遠
一首目とはまた違った趣向の涼のとりかただ。なかば開き直ったかのような豪快さが楽しい。「モウショモウショ」の音が、西瓜を食べる様子と重なってくる。
【 俵 万智 選 】
草加市 斉藤 宏遠
一首目とはまた違った趣向の涼のとりかただ。なかば開き直ったかのような豪快さが楽しい。「モウショモウショ」の音が、西瓜を食べる様子と重なってくる。
【 俵 万智 選 】
バス停に母のまぼろし夏休暇 東京都 榎 正好
作者の帰りを待ちきれず、いつもバス停まで迎えに来てくれていた母。亡き人の幻は思わぬところに現れて、人を慌てさせる。 【 正木 ゆう子 選 】
作者の帰りを待ちきれず、いつもバス停まで迎えに来てくれていた母。亡き人の幻は思わぬところに現れて、人を慌てさせる。 【 正木 ゆう子 選 】
子らいつか離れゆきたり草じらみつけて夕べの畦道かえる
福山市 大本 幸栄
若い者が親のところから、田園の生活から離れてゆくのは、自然のなりゆきだろう。 この歌、三句以下がいい。「草じらみ」や夕べの畦道が、しっとりと心に沁(し)みる。 【 岡野 弘彦 選 】
福山市 大本 幸栄
若い者が親のところから、田園の生活から離れてゆくのは、自然のなりゆきだろう。 この歌、三句以下がいい。「草じらみ」や夕べの畦道が、しっとりと心に沁(し)みる。 【 岡野 弘彦 選 】
鎌研ぐに合はせて股にゆれるものをかしけれどもだれにも言はず
朝来市 椿野よしなか
微妙な歌。くすくす笑ってしまう。人体とはなんとけったいなものよ。それは誰にも言うべきではない。と言いつつ歌にしてしまった。「鎌研ぐ」が生きている。
【 小池 光 選 】
朝来市 椿野よしなか
微妙な歌。くすくす笑ってしまう。人体とはなんとけったいなものよ。それは誰にも言うべきではない。と言いつつ歌にしてしまった。「鎌研ぐ」が生きている。
【 小池 光 選 】
朝寝して昼寝し早寝して老いぬ 香取市 関 沼男
寝てばかりいる老境を自嘲している。しかし、そこには悟りめいた余裕さえも感じられる。眠れない人も多いのだから。 【 矢島 渚男 選 】
寝てばかりいる老境を自嘲している。しかし、そこには悟りめいた余裕さえも感じられる。眠れない人も多いのだから。 【 矢島 渚男 選 】
静かな子静かに遊ぶ水遊び 福山市 桑原 千鶴子
一人遊びのできる子なのだろう。子にとって、静かなバリアでひとり接している水との時間は至福のときなのだろう。 【 宇多 喜代子 選 】
一人遊びのできる子なのだろう。子にとって、静かなバリアでひとり接している水との時間は至福のときなのだろう。 【 宇多 喜代子 選 】