目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
平成を励ます如し昭和の日 松戸市 倉林 高次
平成昭和という時代を擬人化して、少しも不自然でない。もろもろの困難を乗り越えた昭和が、後輩である平成の苦闘を見守り、励ましているのだ。昭和の日は4月29日。 【 正木 ゆう子 選 】
平成昭和という時代を擬人化して、少しも不自然でない。もろもろの困難を乗り越えた昭和が、後輩である平成の苦闘を見守り、励ましているのだ。昭和の日は4月29日。 【 正木 ゆう子 選 】
一日中我は老人のどけしや 名取市 里村 直
被災地の人だが、随分泰然として居られる。「一日中」と言って可笑しみもある。老人は常に老人であるのが当たり前なのでそれが面白いのだ。災害の中でも老人らしく長閑にしていようというのだろうか。 【 矢島 渚男 選 】
被災地の人だが、随分泰然として居られる。「一日中」と言って可笑しみもある。老人は常に老人であるのが当たり前なのでそれが面白いのだ。災害の中でも老人らしく長閑にしていようというのだろうか。 【 矢島 渚男 選 】
生きている丑三つ時の春夜かな 塩釜市 桜井 洋嘉
真夜中に生きていることを実感する。このとき、誰があの惨事を想像しただろう。3月11日当日、地震発生前の投句。 「いきている」は瞬時の事実でしかないのだ。 【宇多 喜代子 選】
真夜中に生きていることを実感する。このとき、誰があの惨事を想像しただろう。3月11日当日、地震発生前の投句。 「いきている」は瞬時の事実でしかないのだ。 【宇多 喜代子 選】
土と水太陽があり耕せり 大和郡山市 宮本陶生
耕しに必要なものとして、土と水と太陽とを揚げる。自然の恵みを得て耕している。 この三つがあっても耕すことができない、原発周辺の地の苦しみを思わざるをえない。 【 小澤 實 選 】
耕しに必要なものとして、土と水と太陽とを揚げる。自然の恵みを得て耕している。 この三つがあっても耕すことができない、原発周辺の地の苦しみを思わざるをえない。 【 小澤 實 選 】
あれはもう含み笑ひといふやうな白木蓮の大きな莟
青梅市 諸井 末男
開花を間近にひかえ、ぎりぎりまで膨らんだ白木蓮の莟(つぼみ)。「含み笑ひ」という比喩が冴える。思い切り笑う瞬間、それが開花だ。「莟」と「含」の字形の相似も面白い。 【 俵 万智 選 】
青梅市 諸井 末男
開花を間近にひかえ、ぎりぎりまで膨らんだ白木蓮の莟(つぼみ)。「含み笑ひ」という比喩が冴える。思い切り笑う瞬間、それが開花だ。「莟」と「含」の字形の相似も面白い。 【 俵 万智 選 】
垂直に蓄えてきし知識さえ地震(ない)に書籍とともに崩れる
松戸市 東 洋
「垂直に蓄えてきし知識」は知識偏重になりがちな私たち現代人の驕りなのだろう。地震によって知識の脆(もろ)さが露見したのだ。【 栗木 京子 選 】
松戸市 東 洋
「垂直に蓄えてきし知識」は知識偏重になりがちな私たち現代人の驕りなのだろう。地震によって知識の脆(もろ)さが露見したのだ。【 栗木 京子 選 】
級長の役を今日よりするといふわが童よ飯はこぼすな
大岡 博(おおおか ひろし)
子どもは大人の種子。すでにその人のおもかげを宿す。歌人の大岡博は詩人の大岡信(まこと)の父。ここに描かれているのは小学校に入学したときの大岡信である。級長になることをひそかに喜びながら一言いいたい。ご飯はこぼさずに食べなさい。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
大岡 博(おおおか ひろし)
子どもは大人の種子。すでにその人のおもかげを宿す。歌人の大岡博は詩人の大岡信(まこと)の父。ここに描かれているのは小学校に入学したときの大岡信である。級長になることをひそかに喜びながら一言いいたい。ご飯はこぼさずに食べなさい。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
どの鳶も右廻りなり春の空 いわき市 斉藤 恵子
たしかにそうだ。長閑な時間にこそ見える春の鳶の生態。春の輪は大きい。3月9日の消印での投句。作者は如何かと案じる。 【宇多 喜代子 選】
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海へ向きはた山に向き麦を踏む 丹波市 土田 勝
畝(うね)をたてて麦を蒔き、早春に麦踏をする。往ったり来たりを繰り返す。これこそがこの国の麦踏。 【 宇多 喜代子 選 】
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今週は、この「麦踏」の句が一番好きでした。震災が無ければ、鳶が飛び回るのどかな景色が今日も続いていただろうに・・・と、心が塞ぎます。
たしかにそうだ。長閑な時間にこそ見える春の鳶の生態。春の輪は大きい。3月9日の消印での投句。作者は如何かと案じる。 【宇多 喜代子 選】
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海へ向きはた山に向き麦を踏む 丹波市 土田 勝
畝(うね)をたてて麦を蒔き、早春に麦踏をする。往ったり来たりを繰り返す。これこそがこの国の麦踏。 【 宇多 喜代子 選 】
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今週は、この「麦踏」の句が一番好きでした。震災が無ければ、鳶が飛び回るのどかな景色が今日も続いていただろうに・・・と、心が塞ぎます。
赤子とはいのちそのもの春の雪 東広島市 児山 順子
どんな時であっても、赤ちゃんの存在には、かけがえのない力を感じさせる。うかうかと「いのち」と書くと軽くなるが、この「いのちそのもの」にはそれがなく、祈りに感じられる。 【 宇多 喜代子 選 】
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被災地で生まれし嬰(やや)に春を見た
寝屋川市 大西 嘉弘
被災地で赤ちゃんが生まれた。未来への希望が一つ灯された。【矢島 選】
どんな時であっても、赤ちゃんの存在には、かけがえのない力を感じさせる。うかうかと「いのち」と書くと軽くなるが、この「いのちそのもの」にはそれがなく、祈りに感じられる。 【 宇多 喜代子 選 】
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被災地で生まれし嬰(やや)に春を見た
寝屋川市 大西 嘉弘
被災地で赤ちゃんが生まれた。未来への希望が一つ灯された。【矢島 選】
非常食のつめたき粥をわが口にあたためて母に口移すなり
旭 市 山田 純子
地震の被害やその影響による停電によって、我々の生活は大きく変わった。年老いて体力の無くなった母のための介護に、最新の心をつくす様子が伝わってくる。 【 岡野 弘彦 選 】
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乾パンに咽(むせ)びて水を流し込む今日を生き抜くそれだけのため
岩手県 小田 わか
岩手県在住の作者。東日本大震災によってライフラインが断たれ、非常食の乾パンを食べて命をつないでいる。 「今日を生き抜く」の切実さの前に、頭を垂れるのみ。 【 栗木 京子 選 】
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望郷を言はざる孫が三日ほど帰りくるとふ地震(なゐ)ゆりし後
群馬県 真庭 義夫
重い被災地の体験を詠んだ歌ではないが、この若者の気持ちよく分かる気がする。そして孫を待つおいの心の動きもまた。 【 岡野 弘彦 選 】
旭 市 山田 純子
地震の被害やその影響による停電によって、我々の生活は大きく変わった。年老いて体力の無くなった母のための介護に、最新の心をつくす様子が伝わってくる。 【 岡野 弘彦 選 】
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乾パンに咽(むせ)びて水を流し込む今日を生き抜くそれだけのため
岩手県 小田 わか
岩手県在住の作者。東日本大震災によってライフラインが断たれ、非常食の乾パンを食べて命をつないでいる。 「今日を生き抜く」の切実さの前に、頭を垂れるのみ。 【 栗木 京子 選 】
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望郷を言はざる孫が三日ほど帰りくるとふ地震(なゐ)ゆりし後
群馬県 真庭 義夫
重い被災地の体験を詠んだ歌ではないが、この若者の気持ちよく分かる気がする。そして孫を待つおいの心の動きもまた。 【 岡野 弘彦 選 】