目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   造反も落伍もをらず蟻の列    太田市  丸山 治巳  

列をつくって整然と進む蟻を見て造反者も落伍する者もいないという感想を持ったのだ。「造反」の語に作者の年齢層が想像される。【矢島 渚男 選】


  節電に息苦しさを覚えると一人こっそり電気を食べる   
                          羽村市  安元 文紀

電気を食べるという言い方が独特。さまざまな家電製品に囲まれるわれら。電気を使うとは結局食べているのかも知れない。     【 小池  光 選 】


   つつむ掌のこわさを知らぬ蛍かな   狭山市  松井 史子

いま蛍は採ってはいけないのだろうが、手につつみ、無心な蛍の光や匂いを楽しむくらいは許される。だが、ほんとうは人間は怖いものなのだ。握り潰す事だって出来る。                     【 矢島 渚男 選 】


   転がりて好きな向きあり昼寝の子   橋本市  若崎 喬子

昼寝をしている子が、一定の向きで眠っていることに気付いた。その向きで眠ると楽なのだろう。その姿を見ているだけで安らぐのだ。 【小澤 實 選 】


  写真家は掏摸なりと言ふ土門拳幼児の無垢の一瞬を盗む
                         吹田市  辻井 康裕

本人も気づかない一瞬の輝きを盗み取ってこそ、優れた写真家といえよう。「掏摸(すり)」という語にドキリとするが、こんな魅力的な盗人になら出会ってみたい。                           【 栗木 京子 選 】


   足とめて見てゐる雨の蛇苺   枚方市  菅原 イツエ

蛇苺のつややかな美しさに立ち止まる作者がいる。 名前は不気味だが、有毒ではない。雨の中でと言って執心のさまが伝わる。【 矢島 渚男 選 】


   殻を出ず余震の中の蝸牛   千葉市  椿  良松

カタツムリが頭を出さない。この句は余震中だが、その前からかもしれない。動物たちは地震に敏感だ。今度の大地震でもさまざまな予知行動が報告されている。その点、人間はまだまだ彼らに及ばない。 【 矢島 渚男 選 】 


   母の日も変らぬ母でありにけり   横浜市  岡部 重喜

輸入されて半世紀。 今では、日本風「母の日」として定着した。 その日を いつもと同じように過ごす母。日本風の母の面影が見えてくる。
                              【 宇多 喜代子 選 】


   包丁を持つて山女にみとれたる   久喜市  深沢 ふさ江

届けられた山女を調理しなければならない。腹を割いて、腸をぬかなければならないのだが、まな板の上の深山の魚の美しさに打たれている。 「みとれたる」が真率。                       【 小澤   實 選  】


  青くるみ死者は生者の中にのみ   花谷 清 ( はなたに きよし ) 

死者とは肉体を失った人。その死者は生者の記憶の中にしか存在しないというのだ。この句を読んで今回の大震災で亡くなった多くの人々を思った。家族ごと亡くなった人をだれが記憶にとどめるか。肉体を失うことは、かくも切ない。                      【 四季 ・ 長谷川  櫂 選 】


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