目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
CCと鳴きDと啼き蝉飛散 岡山市 国定 義明
何かの声なり音をアルファベットで表す先行句はあるかもしれないがCやDはいかにも蝉らしい。下五を飛散と収めたのも鮮やか。 【 正木 ゆう子 選 】
何かの声なり音をアルファベットで表す先行句はあるかもしれないがCやDはいかにも蝉らしい。下五を飛散と収めたのも鮮やか。 【 正木 ゆう子 選 】
流燈の追ひ越す何か囁きて 八王子市 斉賀 勇
盆の精霊を載せた流燈(りゅうとう)が、別の流燈を追い越して、流れ下っていく。その時、何か囁く声が聞こえたというのだ。流燈に乗っている死者の、別の死者にかける声である。 【 小澤 實 選 】
盆の精霊を載せた流燈(りゅうとう)が、別の流燈を追い越して、流れ下っていく。その時、何か囁く声が聞こえたというのだ。流燈に乗っている死者の、別の死者にかける声である。 【 小澤 實 選 】
掃き出しても掃き出しても砂海の家 下田市 森本 幸平
字余りの句は実は取りたくない。しかし、この句の字余りには、海の家に行った際、足の裏に触れる砂の違和感そのものを感じたのだ。【 小澤 實 選 】
字余りの句は実は取りたくない。しかし、この句の字余りには、海の家に行った際、足の裏に触れる砂の違和感そのものを感じたのだ。【 小澤 實 選 】
動くもの皆動かして阿波踊 東京都 森 彰一郎
たしかに「阿波踊」とは手足だけでなく、頭も胴も目も鼻も、体じゅうの関節一切を動かして踊る踊りだ。気分がうきうきしてくる。 【 宇多 喜代子 選 】
たしかに「阿波踊」とは手足だけでなく、頭も胴も目も鼻も、体じゅうの関節一切を動かして踊る踊りだ。気分がうきうきしてくる。 【 宇多 喜代子 選 】
空蝉を集めて歩く男かな 茨木市 瀬戸 順治
この男が何のために空蝉(うつせみ)を集めているのか、わからない。しかし、空蝉には集めたくなる魅力がある。突き動かされるように集めているこの男にも深い謎が潜んでいる。 【 小澤 實 選 】
この男が何のために空蝉(うつせみ)を集めているのか、わからない。しかし、空蝉には集めたくなる魅力がある。突き動かされるように集めているこの男にも深い謎が潜んでいる。 【 小澤 實 選 】
8月や頚動脈に保冷材 防府市 三井 加代子
熱中症の予防には、頚動脈と脇の下を冷やすのがいいそうだ。
事実そのまんまの句だが、標語のように覚えておけば命拾いするかも。
【 正木 ゆう子 選 】
熱中症の予防には、頚動脈と脇の下を冷やすのがいいそうだ。
事実そのまんまの句だが、標語のように覚えておけば命拾いするかも。
【 正木 ゆう子 選 】
ひょうたんのくびれうらやむ糸瓜(へちま)かな 千葉県 菅谷 貞夫
瓢箪(ひょうたん)も糸瓜もウリ科で近縁だが、瓢箪は中央部がくびれていて、糸瓜の方は寸胴。それで糸瓜が瓢箪を羨んでいると、どこか人間への風刺も感じられる愉快な句だ。 【 矢島 渚男 選 】
瓢箪(ひょうたん)も糸瓜もウリ科で近縁だが、瓢箪は中央部がくびれていて、糸瓜の方は寸胴。それで糸瓜が瓢箪を羨んでいると、どこか人間への風刺も感じられる愉快な句だ。 【 矢島 渚男 選 】
空気ほど旨(うま)きものなし豊の秋 成田 千空 ( せんくう )
「空気のよう」 といえば気にとめないもののこと。福島の原発事故以来、その空気を意識しなければならなくなった。空気のうまさを手ばなしでほめているこの句、今なら詠めないだろう。 空気への無邪気さも、原発事故で失ったもののひとつ。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
「空気のよう」 といえば気にとめないもののこと。福島の原発事故以来、その空気を意識しなければならなくなった。空気のうまさを手ばなしでほめているこの句、今なら詠めないだろう。 空気への無邪気さも、原発事故で失ったもののひとつ。 【 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
赤蜻蛉そろそろ山を下りる頃 東根市 小野 白童
赤トンボたちは暑い時を高地で過ごし秋を待って里に下る。作者は山形県の人だから、この“山”は月山だろう。 私も8月上旬の月山に登り、彼らが頂上の神社に密集している光景を見たことがあって懐かしい。
【 矢島 渚男 選 】
赤トンボたちは暑い時を高地で過ごし秋を待って里に下る。作者は山形県の人だから、この“山”は月山だろう。 私も8月上旬の月山に登り、彼らが頂上の神社に密集している光景を見たことがあって懐かしい。
【 矢島 渚男 選 】
もっと鳴け命十日の蝉の声 加古川市 前田 幸重
子どもの頃から「夏は蝉」という親しみを抱いてきたからか、蝉の声をうるさく思うことはない。だれもがその命が短いことを知っているからだ。
【 宇多 喜代子 選 】
子どもの頃から「夏は蝉」という親しみを抱いてきたからか、蝉の声をうるさく思うことはない。だれもがその命が短いことを知っているからだ。
【 宇多 喜代子 選 】