目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   隠し湯になにするでなく二日月   川崎市  沼田 広美

むかし武将たちが傷を癒したりしたという隠し湯。そんな湯に浸(つか)って、自分はぼんやりしているだけ。空には細い月が育ちはじめている。
                             【 矢島 渚男 選 】
   


   朝顔の昇りきつたる鉄扉かな   横浜市  高木  弘

朝顔の蔓(つる)が、鉄扉をのぼりきって、花を咲かせている。 朝顔の花と鉄製の扉との出会いに驚きがあった。よくぞのぼったものだ。【小澤 實 選】


   朝蝉や御飯の炊けるにおいする   東京都  駒形 光子

朝が来る。御飯が炊ける。今日が始まる。なんという幸せのときであろう。
                                【 宇多 喜代子 選 】


  嚙まるれば甚だ痛し鬼やんま   富士吉田市  田辺 義樹

虫を捕まえたついでに嚙みつかせて遊ぶなどということを男の子はするらしい。鬼やんまに嚙みつかれたことも、大切な思い出。    【 正木 ゆう子 選 】



   父に似て父より無口天の川   武蔵野市  藤巻 治郎

父も子も無口。思わず、いい父子だったのだなあと思わせる。二人でいても「ああ、そうだね」程度のやりとりしかない。そんな父への思いを 「天の川」に託した句。                        【 宇多 喜代子 選 】


   腰しずめ阿波の男の踊かな   堺 市  竹崎 正良

阿波踊りのスナップ。「腰しずめ」の把握が的確。見ているだけでも腰が痛くなりそうなのに、なんと強靭(きょうじん)なのだろう。   【 矢島 渚男 選 】


   波を待つサーファー砂に座禅めく   吉川市  石井 カズオ

よい波を待って砂浜に静かに座っているサーファーたち。まるで、座禅をしているみたいに我慢強い。飛躍した比喩がおもしろい。  【 矢島 渚男 選 】


  俯せて死にたる蝉と腹見せて死にたる蝉の覚悟のちがひ
                          東京都  杉中 元敏

ひっくり返って死んでる蝉とそうでない蝉と両方あるが、そこに「覚悟の違い」を見出したのが独創的。どっちが覚悟深いか敢て言わないところがうまい。
                                【 小池  光 選 】


   美しく傾く地球水の秋   川崎市  沼田 広美

新秋の水のしずけさに地球の傾きを感じた。目には見えないその傾きに、強烈な季節が去り、静かな秋が来たことが感じられる。 【 宇多 喜代子 選 】


   今年又今年又8月15日   名古屋市  富山 貴政

一年に一度めぐりくる「8月15日」。 今年は66回目の「今年又」である。身をもってあの日を体験したものに、あの日は年々近くなる。瞑目の思いを抱かせる句だ。                     【 宇多 喜代子 選 】


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