目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  神さまがけんけんぱあをするように島のおかれている春の海
                          東京都  小菅 暢子

視点の高さ、風景をとらえる心の目の大きさが魅力の一首。「けんけんぱあ」という懐かしい遊びが、春の雰囲気をゆったりと伝えている。平仮名表記も、のどかさを強調して効果的だ。             【 俵  万智 選 】


   こだま良く返す森より芽吹きけり   天理市  松田 吉憲

木がすきまなく生えている森の中にも、こだまをよくかえす場所があるのだろうか。 これは精霊が棲(す)む森ではないのだろうか。 こういう森の芽吹きはきっと早いはずである。                   【 小澤   實 選 】


   火の匂ひさせてはじまる春祭   神戸市  西塚 洋子

どこの祭りかを詮索する事より、「春祭」にこもる火の息吹が伝わる事の方が大事。祭りの日の「火」の色や匂いの臨場感がよく出ている。 
                              【 宇多 喜代子 選 】


   階段を桂馬とびして駆け上がる男はきっと新入社員
                          東京都  小菅 暢子

前に行く人を避けながら駆け登るので進路がジグザグになる。それが桂馬とび。はずむが如く、どこからみても新入社員だ。      【 小池  光 選 】

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地方から出てきた新入社員たちが、都会のルールを知って、桂馬とびで颯爽(さっそう)と前を行く人を避けて通れるようになるまでには、もう少し時間が必要でしょう。小菅さん、あなたが目にしたのは「若者」であっても「新入社員」ではなさそうです。 <新入社員が多い いまどきの都会の雑踏は歩きにくい>それが、私の実感です。
「どこからみても新入社員だ」と断言する、選者の感性が悲しい。



   猫柳みな小さなる猿に似て   鹿嶋市  津田 正義

猫柳だから猿でも不思議はないとはいえ、案外思いつかない比喩ではないだろうか。不要にも思われる「小さなる」でリズムが整った。
                               【 正木 ゆう子 選 】



   雛のゐて孫ゐて障子開け放つ   野洲市  田中  一

賑やかな部屋内の様子がうかがえる。 孫のための雛、 雛のように小さくてかわいい孫。雛が生き物のようだ。孫の俳句は甘くなるからと敬遠されるが、このような句はおおいに残すといい。          【 宇多 喜代子 選 】



  日本人はもっと母国をふかく知れ
           怒鳴りたそうな鬼怒鳴門 (キーン ドナルド) 
                           宮崎市  松久 寅雄

なるほど この漢字表記からははげしい印象を受けるが、実際のキーンさんはもの静かで、日本への深い理解と励ましからは、常に大きな勇気と反省を与えられる。                         【 岡野 弘彦 選 】

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岡野先生今週の「一席」の作品にケチをつけるようで申し訳ありませんが、私はこの名を見た瞬間、神戸の「酒鬼薔薇某」を連想してしまいました。
 →近藤 成人<キン ドー ナルト 、こんどう なると(ひと)>では如何?



一人がよろしい雑草?
結婚情報誌「ゼクシー」のCMで、樹木希林さんが呟(つぶや)くフレーズ、
「やっぱり一人がよろしい雑草、やっぱり一人じゃさみしい雑草」。 原点は
放浪の俳人・種田山頭火の自由律俳句だ。
一行目に対応する句は<やっぱり一人がよろしい雑草>。雑草を見つめながら、やっぱり一人がいいと現在を肯定している。家庭を捨てて旅を続ける自分を、しぶとい雑草に重ね、自由を嚙(か)みしめているのだろう。
ところが後に、二行目に対応する<やつぱり一人はさみしい枯草>が書かれた。 孤独にうちひしがれ、弱音をこぼしている。 CMでは枯草を雑草に換えているが、確かに、結婚を勧めるのに枯草では暗すぎる。
先月、高校の同級生の結婚式に出席した。愛に溢(あふ)れた素晴らしい式だった。 「結婚情報誌?読んだよ。最後は二人で決めたけどね」。独身の私も、雑草魂だなんて開き直らずに、たまには「やっぱり一人はさみしい」と甘えてみようか。                      (’12.04.02)

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たまには甘えてみようか・・・などとおっしゃらずに、甘えられる相手がいるのなら、いつでもどうぞ。そして、甘えることができない男の心情を、<孤独にうちひしがれ、弱音をこぼしている>などと結論付けるのはご遠慮ください。  

もし、樹木希林さんが見てくれているならば、一言。あの白い半襟の処理、
もう少し着くずしてくださ~い、ほのぼのとしたものが伝わってきません。
 



  目も口もなくて笑みをり紙雛(ひいな)   桜井市  中  博司

折り紙、切り紙、工芸品など、紙で作った雛。 その雛には、目鼻口などが描かれていない。それなのに笑っている。目のつけどころのおもしろい句だ。
                              【 宇多 喜代子 選 】



   おらが世やそこらの草も餅になる     一茶

長年の遺産争いが和解し、郷里に定住したのは一茶51歳の歳。 翌年、28歳の菊と結婚した。その次の春の句。苦難の末にやっと人並みの暮らしを手にした自分への祝いの一句。その辺の草でさえ餅になる、めでたい世の中になった。                   【 四季 ・ 長谷川  櫂 選 】


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