目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   忙しいなんて言ふなよ花の下   名取市  里村  直

人づきあいに 「忙しい」 は禁句である。 ましてや桜の花を愛でるときには、そんな野暮なことは言うまい。「言ふなよ」に親しさが滲む。
                              【 正木 ゆう子 選 】
  
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   傘折りし風にも散らず桜花      川崎市  栗原 正勝

   釣糸に一旦止まる花筏(いかだ)   岡山市  畑   進 


【 宇多 喜代子 選 】
   裏山にぢいちゃんの木という桜   伊佐市  清水  恒 

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今年は久々に休暇をとって、桜を愛でる「バスツアー」に参加してきました。 日本最古、樹齢2000年・日本三大桜・実相寺の 「神代桜」 や 樹齢 400年・身延山久遠寺の「しだれ桜」の雄姿に圧倒されましたが、パワーも沢山もらえたような気がします。


   3・11 死者は生者の内にのみ   今は、匿名とします

大災害の死者たちは生き残った者の心に記憶としてのみ残っている。死者は記憶されている限りは生きているという思いである。行方不明者は、今も三千名を越える。                     【 矢島 渚男 選 】

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 青くるみ死者は生者の中にのみ   花谷 清 ( はなたに きよし ) 

死者とは肉体を失った人。その死者は生者の記憶の中にしか存在しないというのだ。この句を読んで今回の大震災で亡くなった多くの人々を思った。家族ごと亡くなった人をだれが記憶にとどめるか。 肉体を失うことは、かくも切ない。            【 '11.6.10 四季 ・ 長谷川  櫂 選 】

上五を変えただけのようですが、独創性が認められるものでしょうか?

                   ■


  故郷の北海道は菱形に凍てつき生薑糖のごとしも

北海道はたしかに菱形をしている。寒波に凍てつくと砂糖をまぶした生薑(しょうが)糖のように見える、という比喩が斬新かつ説得力に富む。故郷への愛情もそこには漂っている。                【 栗木 京子 選 】

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菱形に北海道の凍てにけり   桶川市  小林 茂之 

天気図からの発想か。「菱形の
」であったらさほどでもなかったと思われるほど、上五の「に」は効いている。凍てがゆるまず氷のように菱形に
固まったのだ。北海道全土の寒さをよく伝えている。 【'08.02.11 宇多 喜代子 選 】

「北海道が菱形に凍る」という発想は、私には強烈でした。それだけに、このたびの作品( お名前省略 栗木 京子 選 )には模倣性を感じました。

 
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12.04.30付の「おことわり」で、
<4月23日の俳壇 「なんとなく本屋を覗く日永かな」 は、二重投稿のため入選を取り消します>との告知がありました。ということは、上の2つの作品の模倣性に関しては許容範囲内にあると 「主催者側」 は見ているようです。
素人の私には納得できるものではありませんが、ここにお知らせいたします。



   マルクスにかぶれ少年麦を踏む   相模原市  芝岡 友衛

麦踏の少年も世の矛盾に気付いて、それをマルクスの著書が解決のヒントを与えてくれると思っている。回想を現在として詠むか。【 小澤   實 選 】


   七十億のひとり淋しき冬の星  札幌市  池田 雨郷

世界の人口「七十億」を詠んだ投句が最近多い中で、淋しさに踏み込んだこの句を戴く。「冬の星」は作者が見上げる星でもあり、また地球のことのようにも思われる。                      【 正木 ゆう子 選 】



   今日の鮠(はや)今日の川瀬に游(あそ)びをり   
                       森 俊人(もり しゅんじん)

川の流れをみて 「きのうとおなじように流れている」 と思う人もいれば、「新しい水が流れている」と思う人もいる。作者は後者のようだ。 その 「今日の川瀬」に「今日の鮠」が遊んでいる。万事こういうふうに眺めれば世界はつねに新鮮。                      【 四季 ・ 長谷川  櫂 選 】


   雪の日は雪の日なりに過しけり   札幌市  池田 雨郷

多雪地帯の居住者にしかわからない雪のなかでの暮らし。不便を託(かこ)ちつつ、雪を受け入れている気持ちが伝わる。    【 宇多 喜代子 選 】


   しゃぼん玉父ゐる方にみな流る   所沢市  岡部  泉

なぜ「しゃぼん玉」は父のゐる方へ流れてゆくのだろう、ということを論理で考えても答えは出ない。この日のしゃぼん玉はお父さんが好きなんだ、そう思うだけのこと。                       【 宇多 喜代子 選 】


   春眠や海底深く蒙古船   福岡市  後藤 啓之

春夜、元寇船を夢見ている。「海底深く」という表現は、眠りの深さまで感じさせて、いい。作者の住所も作品のプラスになっている。【 小澤   實 選 】


  彼の世にもやさしき人の多かるや夫はひさしく夢にだに出ず
                          所沢市  小野 まつ

いいですね。96歳の作者が亡き夫の死後の世を思いやる、このまどかな心。こんなふうに、次の世の魂の世界を信じてきた日本人の宗教心を、美しいと思います。                        【 岡野 弘彦 選 】



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