目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
ふと見れば鏡に子を抱くひと映る そうだ私は母になったか
名古屋市 山本 望
若いママの歌。赤ちゃんを抱いて鏡に映る自分は、これまでまったく知らない自分だ。母親となった神秘と喜びが素直に伝わる。文字通り新しい人生のはじまりだ。 【 小池 光 選 】
名古屋市 山本 望
若いママの歌。赤ちゃんを抱いて鏡に映る自分は、これまでまったく知らない自分だ。母親となった神秘と喜びが素直に伝わる。文字通り新しい人生のはじまりだ。 【 小池 光 選 】
夜桜や目つむる貌(かお)のそこにあり 井上 純子
私には、今生の最後となる夜桜を全身で感じ取ろうとする景が見える。死を受け入れた者が持つ透明なものが伝わってくるからだ。
【 角川 春樹 選 魂の一行詩 ( ’12.05.12 ) 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
角川春樹の感性は、突然、とてつもなく偉大な詩人に変貌する。この評を読んでいると、彼自身が死を身近なものに感じているようで重い。
私には、今生の最後となる夜桜を全身で感じ取ろうとする景が見える。死を受け入れた者が持つ透明なものが伝わってくるからだ。
【 角川 春樹 選 魂の一行詩 ( ’12.05.12 ) 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
角川春樹の感性は、突然、とてつもなく偉大な詩人に変貌する。この評を読んでいると、彼自身が死を身近なものに感じているようで重い。
うぐいす餅幸せそうな形かな 千葉市 野口 一歩
鶯餅はなんと幸せそうな形だろうという。 単純な句のよさ。 見ても食べても幸せな春の菓子。 【 矢島 渚男 選 】
鶯餅はなんと幸せそうな形だろうという。 単純な句のよさ。 見ても食べても幸せな春の菓子。 【 矢島 渚男 選 】
蟇穴を出てひかえめに生きてゆく 千葉市 椿 良松
確かに蟇(ひき)の生き方は控えめである。黙って動かず、おまけに保護色。蟇にして「ひかえめ」という形容が面白く、人間社会への批評も少し。
【 正木 ゆう子 選 】
確かに蟇(ひき)の生き方は控えめである。黙って動かず、おまけに保護色。蟇にして「ひかえめ」という形容が面白く、人間社会への批評も少し。
【 正木 ゆう子 選 】
受持ちは髭の先生入学す 北秋田市 山上 陽太郎
入学は、どういう学校か明らかになるように作りたい。この句は小学校か。
先生は髭 (ひげ) を生やして、信頼できそうだが、こわかったらどうしよう。
新一年生は心配するのだ。 【 小澤 實 選 】
入学は、どういう学校か明らかになるように作りたい。この句は小学校か。
先生は髭 (ひげ) を生やして、信頼できそうだが、こわかったらどうしよう。
新一年生は心配するのだ。 【 小澤 實 選 】
草笛を吹いて先生転勤す 下田市 森本 幸平
最後の集まりに、得意の草笛を吹いて、先生は転勤して行ってしまった。
草笛が夏の季語。 演奏の先生も聴いている生徒もさみしそう。
【 小澤 實 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづく
最後の集まりに、得意の草笛を吹いて、先生は転勤して行ってしまった。
草笛が夏の季語。 演奏の先生も聴いている生徒もさみしそう。
【 小澤 實 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづく
電車内で化粧施す女をり「あなたの部屋か!」とどなりつけたい
東京都 小菅 暢子
この場面はしばしば歌になるが、はっきり自分の意見を言うのはなかなか見ない。この意見は単純明快、実にはっきりしている。思わず拍手したくなる。
【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづく
東京都 小菅 暢子
この場面はしばしば歌になるが、はっきり自分の意見を言うのはなかなか見ない。この意見は単純明快、実にはっきりしている。思わず拍手したくなる。
【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つづく
幸せと健康の文字名にありぬ今日執行の死刑囚に
船橋市 田中 澄子
「幸せで健康であってほしい・・・」その人が生まれた時に、親が願いをこめてつけたのであろう名前。思いを深くさせられる一首だ。 【 俵 万智 選 】
船橋市 田中 澄子
「幸せで健康であってほしい・・・」その人が生まれた時に、親が願いをこめてつけたのであろう名前。思いを深くさせられる一首だ。 【 俵 万智 選 】
尖りたる鉛筆の先揃えあり鬱にて休む部下の引き出し
町田市 富山 俊朗
思わずはっとしたのだと思う。何気なく開けた引き出しに、芯先の尖(とが)っている鉛筆がきっちり揃(そろ)えられていた。鬱(うつ)の理由がわかるような気がした。 【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと待って!部下の引き出しとはいえ、「何気なく開ける」ことは許されることではありません。作者は必要があって「已(や)むを得ず」開けたはずです。 その行為に「うしろめたさ」を感ずるとすれば、彼の鬱の理由が自分にあると感じるでしょうが、そうでなければ、鬱の理由までは解らないはずです。
町田市 富山 俊朗
思わずはっとしたのだと思う。何気なく開けた引き出しに、芯先の尖(とが)っている鉛筆がきっちり揃(そろ)えられていた。鬱(うつ)の理由がわかるような気がした。 【 小池 光 選 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと待って!部下の引き出しとはいえ、「何気なく開ける」ことは許されることではありません。作者は必要があって「已(や)むを得ず」開けたはずです。 その行為に「うしろめたさ」を感ずるとすれば、彼の鬱の理由が自分にあると感じるでしょうが、そうでなければ、鬱の理由までは解らないはずです。
三月がゆく三月をのり越えて 宇陀市 泉尾 正則
上五の三月は今年の三月、中七は去年の三月だろう。 「のり越えて」は前進を意味するのか、置き去りを意味するのか。 解釈の難しさが不条理そのものを表しているよう。 【 正木 ゆう子 選 】
上五の三月は今年の三月、中七は去年の三月だろう。 「のり越えて」は前進を意味するのか、置き去りを意味するのか。 解釈の難しさが不条理そのものを表しているよう。 【 正木 ゆう子 選 】