目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   十歳の記憶の果ての敗戦忌   鶴岡市  広瀬  弘

今週の投句に 「八月や六日九日十五日」 が2通あった。すでに先行句がある句。だが このいずれの日も、当時十歳であった世代には切実である。
選をしつつ瞑目する。                  【 宇多 喜代子 選 】


   沐浴をして神となる村歌舞伎   市川市  杉森 日出夫

村歌舞伎で神様の役を演じることになった。 沐浴で身を清めて役に臨む。むかしからこうしてこの役を継承してきたのだろう。   【 宇多 喜代子 選 】


   夕焼をてんでに戻る変声期   土浦市  山本勝成

家にいて表を通る声を聞いている。小学生は小学生の声。中学生は中学生の声。 変声期という人生の一時期を労(いたわ)る気持が感じられる。 
         ( 労 = ①いたわる ②ねぎらう )  【 正木 ゆう子 選 】


   球児らは期待背負いて行進す蝉は鳴いたか学徒出陣
                        盛岡市  村木 タミ

青春の情熱を燃やす高校球児たち。入場行進する姿に、昭和18年の 出陣学徒壮行会の記憶が重なる。 第四句を境にして明と暗の反転する一首の構図が印象に残る。               【 栗木 京子 選 】

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   一滴の滴り山を一新す   山形市  伊藤 啓泉

ぽたぽたと岩や苔を伝って落ちる雫。この小さな「滴り」が、大きな山を一新させるほどに感じられる。小から大への大胆な転換がおもしろい。
                             【 宇多 喜代子 選 】


   たまさかの風に息する大暑かな   新潟市  島田 葉子

本当に息が苦しくなるほどの暑さ。 風が吹くとき意外は息をしないわけではないが、こんなふうに誇張して言えば、少し涼しくなる。【 正木 ゆう子 選 】


  忘るることなきは兵士に出でたつ日母にすげなくもの言ひしこと
                         つくば市  潮田  清

出征の日は村人が集まって軍歌を歌って送った。母との別れも、しんみりと親子の情を交わしあうことなどできる雰囲気では全くなかった。70年も昔の記憶である。                        【 岡野 弘彦 選 】



  ともすれば広がりたがる園児らを寄せてせんせい後ろ歩きす
                       武蔵野市  松本 みよ子

好奇心旺盛な園児たちはなかなかまっすぐに歩かない。先生は頭の後ろにも目がほしいところだろう。臨場感たっぷりの歌。    【 栗木 京子 選 】 

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   戦はず友の沈みし夏の海   弘前市  竹内 政行

第二次大戦末期、制空権も制海権も失っていた日本軍の輸送船は、
目的地に達する前に多くが沈められ、多数の将兵が戦わずして死んだ。
夏の海を前に大切な友人を悼む。           【 矢島 渚男 選 】


   本題にふれずひたすらビール注ぐ   東京都  東海林 幸次

よくありそうな情景。じっと言いだすのを堪えているのは、さぞ暑いことだろう。汗が噴き出す。                      【 矢島 渚男 選 】


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