目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   雑炊を憎み戦後の終らざる   一宮市  太田 康直

戦中戦後の食糧難時代、主食だった雑炊を今も憎んでいるという。いまは雑炊を楽しそうに、旨そうに詠う人などもいるのだが。  【 矢島 渚男 選 】


  冬薔薇(そうび)医者にやさしくされてをり  国分寺市 下山 桃子

医者にやさしくされるなんていいなぁと思うのだが、ややくすぐったいような感じでもある。                        【 宇多 喜代子 選 】


   柿日和柿を朝日が丸くする   千葉市  小林  昭 

たしかに日に映える柿は美しい。その柿をこのように丸くするのは「朝日」だというところにも納得。柿のある平凡な晩秋の風景だが、讃えているのは「日」。                         【 宇多 喜代子 選 】


   新巻を買ふ面がまへ見比べて   久喜市  深沢 ふさ江

新巻鮭の「面がまへ」、確かに優しい顔よりも荒々しい顔をしたものの方が、味わいが深いような気がする。省略の妙を楽しむ。   【 小澤  實 選 】


   毒茸蹴られる傘をひらきけり   水戸市  中崎 正紀

干せば旨く食べられるものもあるが、たいていは蹴られてしまう哀れな毒茸(きのこ)がおずおず傘を開いた。            【 矢島 渚男 選 】


   不揃ひの不作なれども藷(いも)日和   大分市  加藤 元二

「不」 の文字が二つも重なっているにもかかわらず、いや 重なっているから こそ、晴れ晴れと気持ちの良い句。 言葉の不思議である。
                               【 正木 ゆう子 選 】


「11月19日の俳壇<秋高し窓といふ窓開け放つ>は、類似句があるため入選を取り消します」との【おことわり】がありましたが、どこからが「模倣」であるかを考えるためにも、判断の基準となった類似の句を示していただきたいと思うのですが無理でしょうか。


   ヨイトマケの唄や勤労感謝の日   周南市  藤井 浅夫

美輪明宏さんが歌うこの歌は戦後の廃墟の中からの力強い復興の歌で、勤労感謝の日にふさわしい。 大晦日にも聞けるだろうか。 楽しみだ。  
                              【 矢島 渚男 選 】


   何の変哲もない花鳥兜   東京都  腰山 正久

「有季17音」の句で、指折り数えればちゃんと17音である。このような句跨(く・またが)りを読むときに 「何の変 / 哲もない花」 で切るより 「花」 までを一気に読むほうがいい。                  【 宇多 喜代子 選 】


   前の世に何願ひしや流れ星   市川市  杉森 日出夫

自分は前世で何を願ったのだろう、という発想がユニーク。このたびの人生は、前世で自分が願って選び取ったのだろうか。    【 正木 ゆう子 選 】


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