目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
初夢や水兵帽のままの吾 鶴岡市 万年 専之丞
作者は第二次大戦のとき、少年兵だったのだろうか。海軍の白い帽子をかぶり、猛訓練を受けた青春の日の夢を今でも見るのだ。【 矢島 渚男 選 】
作者は第二次大戦のとき、少年兵だったのだろうか。海軍の白い帽子をかぶり、猛訓練を受けた青春の日の夢を今でも見るのだ。【 矢島 渚男 選 】
すがすがと師走の障子張り替ふる母の背わかく美しかりき
篠山市 清水 矢一
長塚節(たかし)に
「張りかへむ障子もはらず来にければ暗くぞあらむ母は目弱きに」
というしっとりとした歌がある。投稿歌は若く生き生きと働く母。歳末年始は親を思う時。 【 岡野 弘彦 選 】
篠山市 清水 矢一
長塚節(たかし)に
「張りかへむ障子もはらず来にければ暗くぞあらむ母は目弱きに」
というしっとりとした歌がある。投稿歌は若く生き生きと働く母。歳末年始は親を思う時。 【 岡野 弘彦 選 】
差出人不明の葉書枯野より 神奈川県 中島 さやか
枯野・芒野などの広漠たる景は異界を思わせる。本当はうっかり者が出した葉書でも枯野から来たと思えば、別世界からの通信のよう。
【 正木 ゆう子 選 】
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戻り来し賀状の宛名君は今どこに居るのかじっと見つめる
仙台市 勝 美彰
時折こういう場合があるけれど、消息不明とはこのことだ。どこへ移っていったのだろう、無事なのかそれとも。結句の「じっと見つめる」に実感こもる。
【 小池 光 選 】
枯野・芒野などの広漠たる景は異界を思わせる。本当はうっかり者が出した葉書でも枯野から来たと思えば、別世界からの通信のよう。
【 正木 ゆう子 選 】
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戻り来し賀状の宛名君は今どこに居るのかじっと見つめる
仙台市 勝 美彰
時折こういう場合があるけれど、消息不明とはこのことだ。どこへ移っていったのだろう、無事なのかそれとも。結句の「じっと見つめる」に実感こもる。
【 小池 光 選 】
雪が立ち雪に立つ白鷺になる 鹿角市 石川 ゆみ子
雪が立つ、というあり得ない景の美しさ。更にそれが白鷺とわかるまでの時間の美しさ。山口誓子の 「美しき距離白鷺が蝶に見ゆ」 を引き合いに出して味わいたい。 【 正木 ゆう子 選 】
雪が立つ、というあり得ない景の美しさ。更にそれが白鷺とわかるまでの時間の美しさ。山口誓子の 「美しき距離白鷺が蝶に見ゆ」 を引き合いに出して味わいたい。 【 正木 ゆう子 選 】
百回を数へて受身寒稽古 千葉県 菅谷 貞夫
寒稽古は武道や芸事において行われるのであるが、掲出句は柔道と明確にわかるのがいい。畳は冷たいが、体はあたたまってくる。【 小澤 實 選 】
寒稽古は武道や芸事において行われるのであるが、掲出句は柔道と明確にわかるのがいい。畳は冷たいが、体はあたたまってくる。【 小澤 實 選 】
作業着を吾も着たまま初雀 神栖市 星 美愉
そういえば雀の色は作業着だなと思われてくる。新年でも普段と変わりない。自分と同じだ。 【 矢島 渚男 選 】
そういえば雀の色は作業着だなと思われてくる。新年でも普段と変わりない。自分と同じだ。 【 矢島 渚男 選 】
「cafeのようなお家が建ちます」立て札の更地はまるで挽きたての粉
蕨市 小島 美江
しゃれた立て札だ。その文句に反応して生まれた「挽き立ての粉」と言う比喩もまた楽しい。その粉が、カフェのケーキやクッキーを うまく連想させてくれる。
【 俵 万智 選 】
蕨市 小島 美江
しゃれた立て札だ。その文句に反応して生まれた「挽き立ての粉」と言う比喩もまた楽しい。その粉が、カフェのケーキやクッキーを うまく連想させてくれる。
【 俵 万智 選 】
1月14日の俳壇 「箒目を崩さぬほどに時雨けり」 は先行句があるため、 1月21日の俳壇 「家からも見ゆる冬田を見に出づる」 は、明治生まれの俳人・相生垣瓜人(あいおいがき かじん)に 「家にゐても見ゆる冬田を見に出づる」 という句があるため、1月28日の俳壇 「紅梅に雨降る沖は照りながら」 は先行句があるため、それぞれ入選を取り消します。
来ぬ人を待つやうに待つ春もある 照屋 眞理子 ( てるや まりこ )
「来ぬ人を待つ」とは恋人が来ないとわかっていながら待っているのである。今か今かと胸をときめかせているのではない。 春は必ず来るが、このまま ずっと来ないような感じがしてならないのだ。東日本大震災を経て詠まれた句だろう。 【 '13.01.30 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
「来ぬ人を待つ」とは恋人が来ないとわかっていながら待っているのである。今か今かと胸をときめかせているのではない。 春は必ず来るが、このまま ずっと来ないような感じがしてならないのだ。東日本大震災を経て詠まれた句だろう。 【 '13.01.30 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】
湯湯婆と書けば笑へるなあ婆さん 大和市 杉浦 正章
湯たんぽは漢字だと「湯湯婆」。何故「婆」なんだろうね。なんとも可笑しいなァ、などと傍らの奥さんを顧り見て笑い合っている。句の中ではこれでいいですが、普段はちゃんと名前で呼んで上げてください。 【 矢島 渚男 選 】
湯たんぽは漢字だと「湯湯婆」。何故「婆」なんだろうね。なんとも可笑しいなァ、などと傍らの奥さんを顧り見て笑い合っている。句の中ではこれでいいですが、普段はちゃんと名前で呼んで上げてください。 【 矢島 渚男 選 】