目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   ふつくらと妻七十の花衣   鶴岡市  広瀬  弘

70になっても 「ふっくら」 と若々しく、着飾って花見に行く妻への手放しの賛歌。
なんと率直で幸せに満たされた句だろう。 「七十」 の具体性がいいのだ。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   寄りそひて勿忘草(わすれなぐさ)を播きしこと   
                       大津川市  横山  茂

二人で花種を播くというささやかな日常。それがもう叶(かな)わない事情は推し量るしかないが、行為がささやかであればあるほど、儚(はかな)い美しさが立ちのぼる。花の名が象徴的。           【 正木 ゆう子 選 】


   母の忌や花菜はさつと茹でるもの   埼玉県  小鹿原 君江

季節の食べ物の味が亡き母を思い出させるという句はくある。作者は料る前の「花菜」の扱いを母に教えられたのだろう。たしかに花菜を茹(ゆ)でる心得は「さつと」にある。                【 宇多 喜代子 選 】

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   【 料(りょう)る 】 (俗)料理する。


  震える手「きょうだいゲンカかなしいよ」93歳の母のハガキに
                       仙台市  渡辺 不二夫

哀切な歌。兄弟ゲンカの当事者の一方は作者なのだろう。いくつになっても母は母、子は子。 兄弟仲良くいてくれることがなによりの親孝行。 人生はむずかしい。                          【 小池  光 選 】



4月1日の俳壇 「北窓を開く誰かに会うように」 は、今井杏太郎の先行句があるため、入選を取り消します。


   桜から始まる国に生まれけり   可児市  羽貝 昌夫

きっぱりした断定に、そうなのかと思われてくる。古来、耕作の始まりを告げる花であった。サクラ、なんという明るい響きの言葉だろう。【 矢島 渚男 選 】


   もう焦ること何もなしさくら咲く   神奈川県  石原 美枝子

人はどんなときにこんな心境になれるものだろう。年齢か、境遇か、それとも境地だろうか。思えば、人生は焦りの連続。せめて桜を見るときぐらいはこの句のように。                        【 正木 ゆう子 選 】


   不覚なり畳の上の落椿   東京都  松永 京子

落ちないうちに取り替えようと思っていたのに。畳に落ちた椿は妙に生々しくて、人に「不覚」と思わせるものである。         【 正木 ゆう子 選 】


   戦死とはすべて夭折(ようせつ)月朧   町田市  風間 良富

月のほのかに光る朧(おぼろ)の中で、親しかった戦死者のことを思う。かくも若かったのだ。戦死という死の形のいたましさをあらためて思う。 
                                【 小澤  實 選 】


  折に触れ思い出さるる歌のごと程好い比重の友でありたし
                       鹿児島市  地原 陽子 

毎日ヘビーローテーションで聞かなくても、 時おりふっと心に蘇(よみがえ)り懐かしく思ったり、励まされたりする歌。そんな関係が、人と人との間にもあるのだろう。歌の比喩が、「程好い比重」を、実感を持って伝えてくれる。
                                【 俵  万智 選 】


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