目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  「久留里町信販購利組合倉庫」右より書かれ今も現役
                      市原市  井原 茂明

右より・・・で、古いものだということがわかる。そのまま写して、看板らしさが出た。                            【 俵  万智 選 】


 飼育係「このアザラシは人間で言うと80歳(はちじゅう)」「あら私と同じ」 
                           鎌倉市  正田 敬子

動物園の飼育係との機知に富んだ会話。同世代と知ってアザラシとの距離がぐっと詰まる。お互いがんばりましょう。          【 小池  光 選 】



   母老いてほうれん草の茹でかげん   東京都  飯田 房子

菜を茹(ゆ)でることはかなり老いても出来る家事の一つ。作者もそれだけは母に任せて見守っているのかもしれない。野菜に触れ、火や水を使っているとき、女性は幸せである。                 【 正木 ゆう子 選 】


   春の風鈍才われに師のあまた   登別市  大家 つとむ 

自分を鈍才と言い切る勇気に励まされる。鈍才のお陰でいい先生に沢山 出会うことが出来て幸せだ。 季語の「春の風」がそうした感謝の気持ちを表して暖かな句である。                  【 矢島 渚男 選 】



   揚雲雀もぐらは穴を掘りにけり   一宮市  渡辺 邦晴

春、雲雀(ひばり)は天を目指し、もぐらは地の底の穴を掘り続ける。
お互いは知るべくもないが、それぞれの場所で必死に生きているのだ。
                               【 小澤  實 選 】



   大学生になりたる孫に思い出す我れこの歳に農支えしを
                         所沢市  鈴木 照興

春は進学や就職の季節。大学に入学した孫を祝いつつ、遠き日の自身の姿を思い出す。結句「農支えしを」が味わい深い。   【 栗木 京子 選 】


   東京に江戸重ねつつ花歩き   柳井市  清水 哲史郎

町歩きが盛んだ。東京には江戸が重なっている。地図を片手に、その昔を想像しながら歩くのは楽しいことだろう。折から桜の季節。【 矢島 渚男 選】


   青い鳥の来てゐるやうな春の山   水戸市  中崎 正紀

この「青い鳥」は幸福の象徴であろう。春の山の息吹を歓喜の季節の到来と感じた句。                       【 宇多 喜代子 選 】


 日本の哀しみの尖(さき)に貼りついた桜はライトアップしてはいけない
                           海南市  鬼川 起実

サクラは特別の花。歴史をひもとけば文化のエッセンスがこもる。暗闇の中にこそ見るべきで、夜間照明などつけてはいけない。 作者の鋭い批評精神に拍手。                             【 小池  光 選 】

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                   < 紫綬褒章、おめでとうございます >



  この妻の夫で良かりし半世紀新茶ですよと少しぬるめに
                      茅ヶ崎市  雨宮 俊平

50年を連れ添うご夫婦の仲睦まじい姿。 心から羨ましいなあと思う。 
新茶はややぬるめの湯でとろりといれるとおいしい。 静かな会話も聞こえてきそうな一首である。                   【 栗木 京子 選 】



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