目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  新聞の詩歌切り抜けばその裏に国の大事の断片がある
                       安中市  田口 明子

こう言われてみると安易に読売歌壇など切り抜けない。切り抜くには慎重にまず裏面を確認する必要があろう。人の気づかないところに眼が届いている歌。                             【 小池  光 選 】


 サルトルを手ばなすために曝(さら)しけり   岬 雪夫 ( みさき ゆきお )   

フランスの哲学者サルトルの本はある時期、日本の学生たちの聖典だった。団塊世代の人々が若者だったころといえば、すでに半世紀以上も昔の話である。作者は戦前の生まれだが、やはり青春の形見として今まで手放せなかったのだろう。         【 '13.07.13 四季 ・ 長谷川  櫂 選 】


  蟾蜍(ひきがえる)己の中にうづくまる   秋田市  中村 栄一

どっしりと構えて動かないヒキガエル。それはまるで自分の中に―思いの中にうずくまっているようだ。大正時代の村上鬼城などの作風を思わせる。  
                                【 矢島 渚男 選 】


   今日友は神官として海開き   出雲市  藤江  尭

海開きの句は風景句であることが多いが、この句は人事的に詠んであって珍しい。ふだん気が置けない友も、神事となれば別人の貫禄。それを少し眩しく見ている作者である。               【 正木 ゆう子 選 】


   会ふたびに会釈する母梅雨に入る   東京都  山内 健治

わが子にいちいち会釈をする母。これをどう読みとるか。丁寧な母上だと思うか。 わが子が旧知の誰か、有縁の誰かに見える。 切なさの中に不思議な救済のひそむ句である。                【 宇多 喜代子 選 】


  「人類よ植物にむかひおじぎせよ」牧野博士の言葉身に沁む
                         鹿嶋市  加津 牟根夫 

この歌で初めてこの言を知ったが、奥行きのある言葉だ。さすがは植物学の大家の洞察。歌はただ簡潔に述べて、この味わいのある至言を邪魔しないところがいい。                        【 小池  光 選 】


  十薬を厠の神へ飾りけり   越谷市  小林 ゆきお

かつての厠には神がいた。どんな神なのかと問われても答えられる人は少ない。いると信じている作者は白い十薬(ドクダミ)の花を供える。
                              【 宇多 喜代子 選 】


  逃げきつて振り向いてゐる蜥蜴かな   泉佐野市  岡本 炎弥子

トカゲは目ざとく、逃げるのが素早い。ある距離まで逃げて、どうだいという風に振り返っている。逃げることで生き残った小さな恐竜の仲間への親愛感が感じられる。                          【 矢島 渚男 選 】


   裸の子何度着せてもすぐ裸   潮来市  大野 信也

暑いのである。活発な子なのである。普通裸といってもパンツぐらいは履いているが、この子の場合、全くのスッポンポンだろう。    【 小澤  實 選 】


   身を断たれ百足分かれて逃げゆけり   横浜市  我妻 幸男

人に打たれたのだろう。二つになった百足(むかで)それぞれが逃げていったというのだ。ものすごい生命力。まさに分身の術である。  【 小澤  實 選 】


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