目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  若き日に住みゐし家に立ち寄れば人の綺麗な暮らしぶり見ゆ
                           東京都  遠藤 正雄

転居後の家に誰かがきれいに住んでいると、思い出も清らかなままのようで嬉しい。若き日の住まいであるところが叙情的。             【 栗木 京子 選 】


   北国の月の近さよ大きさよ   小金井市  高橋 広子

地球のどこから見ても、肉眼に見える月にさほどの差はないようだが、そうではなさそうだ。北国の広い大地が見えてくる。             【 宇多 喜代子 選 】


   学校が好きという子の9月かな   生駒市  国包 澄子

この学校大好きっ子は、小学校低学年というところだろうか。 学習好きというよりは、友だちと会うことが楽しいのだろう。まことに健康な子で気持ちがいい。 
                                  【 宇多 喜代子 選 】


   寝て喰うていはゆるひとり鯊を釣る   東京都  平松 恒次

気儘(きまま)に暮らし、天気が良ければ鯊(はぜ)釣りに。 いわゆる悠々自適。
しかしそれはいわゆる孤独でもある。 寂しくはないが、人にはそう見えるのかも。
「いはゆる」が味わい深い。                    【 正木 ゆう子 選 】


   稲の花どんな花より美しく   東松山市  柳沢 一男

われわれの命を養ってくれる稲への思いがこもった句。毎日食べながら、稲の花を見たことのない人も多いにちがいない。             【 正木 ゆう子 選 】


   戦ひは諾(うべな)はねどもくりかえしひそかに歌ふ「かへりみはせじ」
                              茅ヶ崎市  青木 君子

戦争中よく歌った「海行かば水漬(みづ)く屍(かばね) 山行かば草生(む)す屍・・・」は戦いの歌というより、大伴氏が宮廷への忠誠を誓った歌なのだが、今度の戦争で印象が変わった。 作者は私と同年。 その思いに共感する。
                                    【 岡野 弘彦 選 】


   うさぎさんおいしいおもちくださいな
      千葉県 市川市立冨貴島小学校2年 冨森 萌々笑

月のうさぎにおねだりするような 「くださいな」 が楽しいですね。 お月見の座(ざ)の雰囲気(ふんいき)が出ています。
                【 ’13.09.28 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   芒原夜はけものの往来す   足利市  長谷川 洋児

昼は人も往来する芒原だが、夜になると、獣が出て来て行き来するというのだ。
山を背にした土地だろう。闇の中に獣の眼がきらめく。      【 小澤  實 選 】


   雷鳥の子に初めての人のこゑ   川崎市  沼田 広美

高山に住む雷鳥の雛に、人間の声はどのように響いているのだろうか。
人の立場から詠んでいるのではなく、雷鳥の子の立場からであるのがいい。
無事に育って欲しい。                        【 小澤  實 選 】


   火星より見れば涼しき水の星   川崎市  多田  敬

暑い暑いとすごした夏だったが、それでも地球には海がある、大気がある、雨が降る。太陽系の中で多分最も涼しげな青い星、地球。     【 正木 ゆう子 選 】


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