目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   学術名コロラビス・サイラ秋刀魚焼く   京都市  峰尾 秀之

秋刀魚(さんま)に学名があって少しもおかしくないが、それにしてもこの立派な名前は意外。やはり秋刀魚は秋刀魚のままが美味しそう。     【 正木 ゆう子 選 】


   鮭と吾ふるさとの川同じうす   川口市  渡辺 しゅういち

 鮭が遡上する川を故郷にもっているということである。 鮭と吾とが同じ重さなのが  いい。作者は川遊びや釣りなどで、そうとうこの川と親しんできたのではないか。
                                    【 小澤  實 選 】


   芒挿す一升瓶の青みかな   牛久市  中村 栄子

芒を摘んできて、一升瓶に生けてみた。なかなか豪快である。すると、瓶のガラスの青みに気付いたというのだ。 あらためて気付く美。         【 小澤  實 選 】


   神様がいるってことかな この声も爪も僕には作れないから
                        横浜市  水野 真由美

声と爪の主を 「僕自身」 ととることもできるが、「僕の恋人」 と受け止めて読むと、いっそう素晴らしい。相手が存在してくれることへの限りない感謝と感動の歌。
                                    【 俵  万智 選 】


   鈴虫を飼ひて死に行くことも見る   古谷 秀雄

鈴虫を飼うのは、りーんりーんと鳴く声を楽しむ風流心であるけれど、いずれ鈴虫は死ぬ。死ねば土に埋めるか草叢にすててしまい、鈴虫を飼って、この世の無常を知ることになる。風流の裏にひそむ傲慢をぴしゃりと撃つ吟だが、鈴虫を飼う人間もいずれは死ぬ、という諦観がある。鈴虫は自分でもある。三和銀行台北支店に勤務したときに俳句をはじめた古谷はクールに怖い句を詠んだ。
                        句集「詩魂」(昭和53年・永田書房)
       【 ’13.10.17 週刊新潮・新々句歌歳時記 嵐山 光三郎 選 】


   秋風に紙飛行機を乗せにけり   千葉市  中村 重雄

紙飛行機を飛ばしたのではない。秋風の流れの上に紙飛行機を乗せたのだ。
秋風の流れの量感を、紙飛行機の飛翔によって感じ取らせているのが、みごとだと思った。                                【 小澤  實 選 】


   山が澄み海が澄み空なほ澄めり   札幌市  関  泰輔

過ぎた夏の異常な暑さのあとだけに、爽秋の気はことさら目にしみ、身にしみる。
天地明瞭な秋への最大の挨拶。               【 宇多 喜代子 選 】


   エリーゼを少女と思う月の道   東京都  伊藤 博之

エリーゼといえばベートーベンの「エリーゼのために」。散歩の途中、どこからかその曲が聞こえたのかもしれない。名曲中の人物も、思えば生きて恋する生身の女性。
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   木の実落つ午後一便のバスを待つ   吹田市  河野 辰彦

バスを待つという句はたくさんあるが、「午後一便の」の踏み込みがいい。
午後早い時間の木の葉を漏れる秋光が見えてくるのだ。    【 小澤  實 選 】


  50年家計を支えし洋裁をやめるも早し母の決断
                      成田市  浮貝 洋子

洋裁の仕事を50年続けてきた持久力。そして、体力の限界を感じてやめるときの決断力。 どちらもすばらしい。 「やめるも早し」のさりげなさに母への親愛感が漂う。 
                                    【 栗木 京子 選 】


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