目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   白菜を漬ける婆より古き石   栃木県  あらゐひとし

菜を漬けるのは女性の仕事だった。 婆は何十年もやってきた。 漬け終わると石を載せる。その重石(おもし)は何代も使われてきて、お婆さんよりもずっと古い。家の歴史がこもる石。                          【 矢島 渚男 選 】


  あわ雪を受けそこねしもあの頬に触れそこねしも同じてのひら
                            垂水市  岩元 秀人

作者のてのひらはあまり有能ではないようだが、その未遂感にこそ叙情性が漂う。「 そこねしも 」の繰り返しが、なんだか楽しそう。 軽やかなしらべも魅力的な一首。
                                    【 栗木 京子 選 】


  木の葉舞ふ深まる秋の言の葉がきらりと舞ひてわれに宿りぬ
                          幸手市  中村 早苗

めずらしく一句で切って読むべき歌。あざやかな一句の切れが、それに続く詩情を引き出している。                          【 岡野 弘彦 選 】

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【 参照】 【 13.12.16  岡野 弘彦 選 】
   冬に入るさびしき橋を渡りつつ未練うするる町ふりかへる
                          高槻市  長沢 英治 


< 6日付けの記事は気付かずに処分 >
   【 岡野 弘彦 選 】、【 小池  光 選 】は、後日。

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  さて今日も青葉に負けずすごさむと施設の朝を心呼吸する
                         所沢市  小野 まつ

97歳の小野まつさんの歌に折々に励まされている。 この歌は 「深呼吸」 ならぬ「心呼吸」 がすばらしい。 心と体を大きく開いて初夏の空気を吸い込む作者。  青葉の勢いに負けないぞ、という心意気が輝いている。 「さて今日も」という初句の軽やかさも見事。ことしも心呼吸で、どうぞお健やかに。    【 栗木 京子 選 】
  
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  ハチミツがあふれるやうに布団ほす大マンションの春のベランダ
                         仙台市  岩間 啓二

どの家も春を待ちかねている様子が、たっぷり伝わってくる。  垂れ下がる布団を、ハチミツとした比喩が見事。形状だけでなく季節とも響きあう。コンスタントに佳作を送ってくれた岩間さん。大きな景色を捉える視点やユニークな比喩が持ち味だが、この作品にも魅力があますところなく出ていた。          【 俵  万智 選 】


   寒禽のこゑ老幹へ老骨へ   神奈川県  中島 さやか

この寒禽は梟(ふくろう)とか鷹のような特別な鳥ではなく、冬の雀や鴉(からす)かもしれない。 冬木の幹、そして作者に、ピンとした冬の空気を切って、その鳴き声がひびく。                              【 宇多 喜代子 選 】


  初恋の人より喪中葉書きぬ思い出ふかしその父のこと
                        東京都  野上  卓

一枚の喪中葉書によって、蘇(よみがえ)る思い出。 体言止めが、「その父」 との浅からぬ因縁めいたものを想起させ、余韻がにじむ。      【 俵  万智 選 】


   神楽終へ神の気配の闇残す   大阪市  大鹿 正男

神楽の余韻を巧みにとらえた。神様がまだそこらの闇に居そう。 【 矢島 渚男 選 】


   林檎食べ鉛筆で書く方丈記   埼玉県  細淵 勝子

「鉛筆で書く」がリアルだ。 一字一字書き写してゆく夜長。 この本には1185年に京都地方を破壊した大地震も生々しく記録され、日本人の無常観を培ってきた。なお鉛筆の句では「鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ 林田紀音夫」が忘れ難い。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   約束の聖樹の下といふところ   鯖江市  木津 和典

だれかとの約束場所をクリスマスで賑わう「聖樹の下」と決めた。「といふところ」から察するに、作者にとってこの場所があまり馴染みのない場所であったことがわかる。
                                  【 宇多 喜代子 選 】


   気紛れな風当てにせず銀杏散る   東京都  本多 明子

風もないのに散るということ。別の言い方をするとこの句になる。しかしそれは言い方でなく、感じ方。 濃やかに感じているからこその句。       【 正木 ゆう子 選 】


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