目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   鹽という一字看板雪の村   むつ市  畑中 継雄

塩は必需品だから、かつては専売であり村に一軒はあった。 その使われなくなった看板が残っている。「鹽」という難しい字が使われていたものだ。【 矢島 渚男 選 】


  敬礼の鮮烈なりし小野田少尉いま戦友のもとに旅だつ
                        千葉市  岩川 栄子

戦争終結から29年目にフィリピン・ルパング島から帰還した小野田寛郎少尉は、今年1月16日に91歳の生涯を終えた。彼の長い戦中・戦後を一貫する鮮烈な生涯に対する、一女性の心深い挽歌である。         【 岡野 弘彦 選 】


  妻と住む薩摩の山家冬の夜は大黒柱の裂ける音する
                       霧島市  久野 茂樹

スケールが大きく、ダイナミックな歌。乾燥した柱がするどい音をたてて裂ける。それも大黒柱が。 ひしひしと冬の闇と寒さが迫ってくる。 いかにも山家という感じ。
                                     【 小池  光 選 】


   ポケットに全財産や春の旅   西村 麒麟 ( にしむら きりん )

ポケットの中のわずかな現金が全財産。限りなく心細くはあるが、はてしない自由を手にしているような気分でもある。このアンバランスの上にどうにか両足で立っているのが若さなのだろう。 「安泰な青春」など言語矛盾というもの。
                      【 '14.02.15 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   冬休みなわとびいっぱいれんしゅうした
        和歌山県 美浜町立松原小学校1年  大江 采穂

冬休みの頃(ころ)は寒(さむ)い日が続(つづ)きますが、 少しでもうまくなりたくてがんばったのでしょう。 達成感(たっせいかん)が 「れんしゅうした」の語(ご)に表(あらわ)されています。      【 ’14.02.15 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   ともかくも何か啄む寒雀   越谷市  小松 まさる

雀(すずめ)がしきりに何かを啄(ついば)んでいる。人には何も無いようにみえる処(ところ)にも、餌となるものはあるのだろう。 さらりと詠んで、雀を活写。
                                   【 正木 ゆう子 選 】


   重箱を洗ひ正月閉ぢにけり   土浦市  山本 勝成

まことにその通りなのだが、俳句でこれを言われたか。そんなあっけらかんとした説得力があって面白い。                       【 宇多 喜代子 選 】


   老の文字使わぬ決意初句会   東京都  駒形 光子

私は晩年の加藤楸邨に たびたびお会い出来たが、先生は80代になられてからも「老」の言葉を俳句に決して用いない人だった。 老いと懸命に闘われていたからだろう。この句からそんなことを思った。               【 矢島 渚男 選 】

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【 ( 同じ日の ) 矢島 渚男 選 】

   凍土固し虜囚の死体重ね置く     帯広市  吉森 美信  

   八十路にてみなし児となり餅を焼く   茨城県  柿崎 桂子


【 宇多 喜代子 選 】
   火の神を呼んで鎮めてどんどの火   埼玉県  小暮 正雄

【 正木 ゆう子 選 】
   炉を焚いて古民家移築祝いたり    前橋市  船戸 冨士江

【 小澤  實 選 】
   かまくらに座布団敷いて神祀る     武蔵野市  相坂  康


    雪だるまつくりて家族ひとり増す心地そのままキッチンに立つ
                           八代市  中島 由里

楽しい冬のひとこま。「心地そのまま」というつなげ方が上手い。 【 俵  万智 選 】


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