目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  犬の目に涙浮かべば息をころし子は死をみつむ別れのとき来て
                          佐世保市  近藤 福代

ペットの死はこの上なく悲しいもの。 そしてまた、 「死」 のなんたるかを教えてくれる学習の場でもある。 臨場感ある歌。                【 小池  光 選 】


   アネモネは空から落ちし色のまま   日高市  引間  豊

アネモネの色はどれも鮮やか。その中の青い花を言ったのだろうが、「天上的な色」という意味では、どの色でもいい。直感の句である。      【 正木 ゆう子 選 】


   古木桜幹に力の二花三花   松戸市  倉林 高次

年をとった桜。幹もぼこぼこになり、見るからに古木となっている。 その老木に花が咲く。 その感動を「力の」で表した句。            【 宇多 喜代子 選 】


  色分けて種採りおきし朝顔も蒔くべくなりぬ吾(あ)は生きてゐし
                            高萩市  田中 江子

4句まではなんでもない歌だが、結句に至ってはっと胸にひびく。更にもう一度読み直すとしっとり胸に沁(し)む。作者は90歳。          【 岡野 弘彦 選 】


  公園の幹太き木のその膚に死ねという文字刻まれてあり
                      千葉市  吉井 由美子

好きな人の名などでなく 「死ね」 の文字が木膚(きはだ)に刻まれていた。 事実をたんたんと表したことで傷ましさが浮き彫りになった。      【 栗木 京子 選 】


   大木の幹の中まで暖かし   藤岡市  飯島 加津枝

あたりに春の気配がたつ。大木の枝の芽が膨らみ、風が東から吹き始める。「暖か」はその頃の季語。その「暖か」を大木の幹の中という見えないところにも感じたのだ。 
                                   【 宇多 喜代子 選 】


  ひもじさはかなしき性(さが)ぞ子の命失せたる夜もわれはもの喰(く)う
                              吹田市  鈴木 基充

空腹に迫られた自然な生理現象すら厭(いと)わしく思う、わが子の死の夜も こうしてものを食べている自分。老境に至って子を早く死なせた親の嘆きを、心深く歌った一首。                                【 岡野 弘彦 選 】


  電話のあと笑い声いつも耳に残る嫁はもうすぐ母親になる
                        愛媛県  木本 清子

電話なので表情は見えないが、声からお嫁さんの楽しい気分が伝わってくる。うらやましい関係である。もうすぐ生れる子を待つ思いが二人をつないでいるのだろう。
                                    【 栗木 京子 選 】


   風邪ひいてふとんの中からまどの外  
         神奈川県 寒川町立旭小学校6年  伊藤 遥薫

「あーあ、つまんないな!」というため息が聞こえてきそうな句です。窓の外に何があるのか、具体的(ぐたいてき)に書かなかったことで、読者がそれぞれ自分の部屋を想像(そうぞう)して句を味わうことができます。
                 【 ’14.04.12 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   安徳帝沈みし波に雛流す   豊橋市  河合  清

壇ノ浦の戦いで源平の戦いは決し、安徳天皇は入水された。その波に流す雛には、悲劇の帝への鎮魂の思いも含まれているのだろう。     【 小澤  實 選 】


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