目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  昼も夜も大勢の人訪(と)いてより桜は更に寂しくなりぬ
                        池田市  今西 幹子

もしかしたら、寂しいから花を咲かせているのかもしれない。 「更に」が効いている。 もともと寂しい木なのだという思いがそこにはあって、まわりがにぎやかになるほど、 かえって寂しさがくっきりしてしまうのだ。              【 俵  万智 選 】


  「先生」とはじめて呼ばれし孫いかにたくましく並ぶ男子高校生
                        東京都  五十代 ひさ

孫は男子高校の教師になったのだろう。男子高校生を前にして、おびえていないだろうかと心配になる。「たくましく並ぶ」に臨場感があり、健やかなユーモアが漂う。
                                    【 栗木 京子 選 】


   永き日や砂丘の駱駝立ちしぶる   出雲市  藤江  尭

鳥取砂丘に飼われている観光用の駱駝(らくだ)か。客が来たので立たせようとするが、なかなか立ち上がらない。暖かい日差しにサボっていたいのだろう。まあ、いいだろう。まだ日も永いことでもあるし。                 【 矢島 渚男 選 】


   花吹雪思えば仮設去り難し   角田市  梶原 京子

仮設住宅の近くに桜の木があって、その花吹雪の美しさが忘れられず、それを もう一度見たいと言う。                         【 矢島 渚男 選 】


   諸葛菜見しより終点まで睡る   東京都  望月 清彦

諸葛菜の紫の花には、催眠効果があるのか。その花を見た後、電車の中で深く眠って、気付いたら終点。 諸葛菜の不思議を描いている。    【 小澤  實 選 】

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   白魚の目玉ばかりの椀の中   東京都  大谷 幸秋


   初桜一駅ほどを歩きけり   西宮市  岡野 園子

きりっとした早春の気が去り、今年に桜に巡り合ったときの静かな感動。線路沿いの桜を愛でつつ歩く、これもいいお花見ではないか。     【 宇多 喜代子 選 】


  悲しみは一瞬にしてよみがへり長い時間をかけて忘れる
                        仙台市  岩間 啓二

毎週作品を読んでいる者としては、震災のことなのだと想像がつく。 が、そのことを越えた普遍性が胸を打つ一首だ。                【 俵  万智 選 】


 どの道も日本を出でず青き踏む   みよし市  稲垣  長

青草の道を歩きながら、どの道を行っても日本を出ることはないという。そうした思いを持つ作者自体が興味深い。 なるほど、この国は海に囲まれた島国だ。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   空に地に肩に帽子に桜かな   さいたま市  高田 知子

桜が地に咲き、空にも巻き上がっている。人の肩や帽子にも降り積もっているのだ。天地人が桜に包まれている趣(おもむ)き。 「肩に帽子に」 と具体的に記した点を評価したい。                             【 小澤  實 選 】


   つなぐ手に力のこもる入学児   小金井市  高橋 広子

この子にしてみれば、生涯最初ともいえる公的儀式である。初めての場での嬉しさと不安に緊張した入学児の様子が読者にまで伝わってくる。【 宇多 喜代子 選 】


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