目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[114]  [115]  [116]  [117]  [118]  [119]  [120]  [121]  [122]  [123]  [124
   美しき文字にて届く花便り   船橋市  峰川 花子
  
今では少数となった手紙派。それも美しい文字。だから嬉しいとは詠まれてはいないが、その気持ちが伝わる。 俳句の俳句たるところだ。   【 宇多 喜代子 選 】


   学校の輝いてゐる桜かな   日高市  滝  秀子

この学校の桜の「輝き」がわかるのは、他の花とはちがう桜の来歴のわかる日本人固有の感性であろう。やがてこの桜も <さまざまの事おもひ出す桜かな> になる。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   雨にも負けず風にも負けず鴉の巣   秋田市  中村 栄一

宮沢賢治の詩が引用され、鴉(からす)と賢治とが重なる。鴉も必死に生きていると感じさせてくれる。 嫌われものの鴉を見る視線がやさしい。  【 小澤  實 選 】


   母逝きて春を惜しむに似たるかな   千葉市  熊谷  貢

高齢の穏やかな死が想像されるが、たとえそうであっても、ここまで安らかな追悼句は珍しい。母上の人柄、人生、作者との関係、そのすべてが詠ませた一句だろう。
                                     【 正木 ゆう子 選 】


   汐干潟そろそろ穴に戻ろうか   豊中市  谷口 国人

潮が引いた砂浜には蟹(かに)をはじめ、いろいろな生き物が忙しく働いていたが、もう夕暮れで潮も満ちてきた。お前たちもそろそろ穴に戻るか、俺もねぐらに帰ることにしよう。                                【 矢島 渚男 選 】


   囀りを撮るといふ人雑木山   町田市  枝沢 聖文

見映えのしない雑木山で撮影している人に出会った。 「何を撮っているのですか」「囀(さえず)りを撮っているんです」。 小鳥を撮っていたのだ。 【 矢島 渚男 選 】


   藤椅子に深く座れば見ゆるもの   星野 高士 ( ほしの たかし )

藤(とう)椅子に深く座るだけのことだが、ゆったりと落ち着いた心境まで想像される。すると、庭の景色がいつもと違って見えたるする。いままで見えなかった木の花が見えることもある。人の心の中が手にとるように見えることもあるだろう。
                      【 '14.05.15 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


   永き日やクッキー作りジャム作り   北九州市  佐藤 静香 

「永き日」のありがたさは、細々としたことがあれこれできること。おだやかな一日であったことがよくわかる。                       【 宇多 喜代子 選 】
 

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   一年生呼ばるる良き名よき返事   仙台市  勝  美彰


   沙翁の忌黙して去りしひとばかり   郡山市  高木 茂子

沙翁はシェークスピア。忌は4月23日。しかしそれを詠(うた)ったのではなく、被災地の人であることを思うと放射能から避難して 「みんな黙って去っていった」 という事情か、それとも身辺の急死者だろうか。 それが、悲劇の終幕を思わせる。 
                                    【 矢島 渚男 選 】


   快晴に疲れてゐたり花辛夷   小平市  土井ノ内 寛子

年齢を重ねてくると、快晴がうれしくない、ちょっとつらいという体調もある。辛夷(こぶし)の花も茶色に変色してきて、終わりが近いようだ。     【 小澤  實 選 】


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター